百枚の包み紙社長である夫は、私と私たちの子供を愛していない。
夫は、あの「忘れられない女性」とその子供に会いに行くため、家を出る前にはいつも息子に飴を一つ渡していた。
「この包み紙を百枚集めたら、パパは帰ってくるから」
しかし、息子がようやく百枚の包み紙を集めた日。彼を待っていたのは、別の子供の誕生日パーティーに向かう父親によって、高速道路に置き去りにされるという残酷な現実だった。
私が必死に息子を見つけ出した時、息子は強いショックが原因で失語症を発症していた。
それなのに、夫は悪びれもせず、こう言い放っただけだった。
「さやかと陽太もわざとじゃないんだ。お前たちも、もう少し寛大になれないのか?」
やがて、息子はもう夫の不在を悲しむことも、彼が帰ってくることを期待することもなくなった。
そして、集め終えた百枚の包み紙を、静かに夫へと突き返した。
息子はただ一言こう告げた。
【パパ、もう帰ってこなくていい。だけど……僕の声を返して】