星降る空、暁を待つ白鳥心羽(しらとり みう)は、膵臓癌の診断を受けた日、夫・白鳥響矢(しらとり きょうや)が篠崎和奏(しのざき わかな)の足に両手を添えているのがぼんやりと見えた。
余命わずか三か月と宣告され、心羽は治療への意欲を失ってしまう。
八年前、響矢は心羽を救うために自らの視力を犠牲にした。
そして今、心羽は人生最後の時間に、彼に視力を取り戻させる決意をする。
響矢が光を取り戻した朝、心羽にとっては人生最後の日の出となった。
全てを知った響矢は激しい後悔と狂気に駆られ、取り戻したばかりの両目を自ら抉り取り、炎に包まれながらこう言った――
「心羽、もし来世があるなら、俺には二度と会わないでくれ」