12歳の私から母へ贈る、最高の誕生日プレゼント妹・結城結愛(ゆうき ゆあ)がまた入院した。原因は、私・結城望美(ゆうき のぞみ)が部屋の窓を開けて風を通したこと。
母・結城雅美(ゆうき まさみ)は病室の外で私の鼻先を指差して喚き散らし、その飛沫が私の顔に容赦なく飛んでくる。
「あんたなんか、連れ戻すんじゃなかった!お祖母ちゃんの躾が悪かったのね。妹をいじめるために帰ってきたんでしょ!
もし結愛に万が一のことがあったら、あんたも生きていられないと思いなさい!」
深夜。家の中は水を打ったように静まり返っている。
黒い服を着た背の高い死神のおじさんが壁をすり抜けて現れ、真っ直ぐに妹のベッドの枕元へと向かった。
「結城結愛。寿命が尽きた、私と来い」
妹は深く眠っているが、私は目を覚ましている。
私は床に敷いた布団から這い上がり、妹のベッドの前に立ち塞がった。声は震えていたが、決して逃げたりはしない。
「おじさん、人違いだよ。寝ているのはお姉ちゃんで、私こそが結城結愛なの」
振り返り、熟睡している母を一瞥する。母は夢の中でさえ、眉間に深く皺を寄せている。
私がいなくなれば、お母さんはもっと幸せになれるかもしれない。
「おじさん、私逃げないよ。でも、三日だけ待ってくれないかな?
お母さんの誕生日を、お祝いしてあげたいの」