『fuan no tane』のエピソードの中で、特に頭から離れないのは『影踏み』です。あの不気味な影が段々と近づいてくる展開は、単純なようでいて深く心理に食い込みます。
何気ない日常に潜む恐怖をこれほどまでに巧みに描いた話は他にないでしょう。最後のオチで全てが繋がった時の戦慄は、何度読み返しても新鮮です。特に夜道を歩くとき、ふと背後を確認したくなるような、そういう種類の怖さがたまりません。
この作品の真髄は、見えないものへの恐怖を、見える形で表現している点にあります。影という誰もが知っている存在を、これほどまでに不気味に変える手腕には脱帽です。