細部にこだわるほど再現の説得力は増す。僕はいつも、まずキャラクターのシルエットと色のブロックを徹底的に分解するところから入る。
アーシャの衣装が持つ特徴的なラインやプロポーション、特に肩まわりとスカートのボリューム、胸元の装飾を写真と動画で複数角度から集めて、紙にラフスケッチを描きながら必要なパーツを洗い出す。
布選びは勝負どころだと考えていて、光沢感のある素材とマットな布地をどう組み合わせるかで見た目の印象がガラリと変わる。僕は外側に存在感のある厚手のツイルやサテンを使い、裏地と接する部分には伸縮素材や薄手の綿を入れて着心地を確保する。縫製では芯地を適所に入れて形を保持しつつ、可動域を意識したスリットやガセットを必ず設けるようにしている。
小物類は作り込みで差が出る。ベルトやバックル、アクセントになる金属パーツは既製品を加工して使うことが多いが、形が合わないときはWorblaや厚手のEVAフォームで作って塗装して質感を出す。塗装は下地にグレーや黒を入れてからハイライトを重ね、ウェザリングで使用感を出すと自然に見える。着用時には動きやすさと耐久性を確認し、バランス調整が必要なら小さな改修を繰り返す。こうして完成させた一着は、写真に残したときにはじめて苦労の価値が実感できるんだ。