参考として、'There Will Be Blood'の断片的で冷たい弦の扱いは学ぶところが多い。ただしジャンルを限定せず、アンビエント、ポストロック、インダストリアル、現代音楽などの素材を横断的に取り入れると独自性が出る。最終的には、余計な説明を避けて「何か終わったような感じ」を音で匂わせることが鍵だと感じている。
具体例を挙げると、'Requiem for a Dream'のような強烈な繰り返しは絶望感を直截に伝えるが、同じ手法をそのまま持ってくる必要はない。自分が作るニヒルさは、やや冷めた距離感を保ちつつ、時折鋭く刺す瞬間を設けることで成立する。ミックス段階で音をあえて完全に馴染ませず、レイヤーごとに別々の空間感を与えると、曖昧な不協和が生まれて理想の雰囲気に近づくはずだ。
Ryan Goslingの『Drive』での無口なドライバー役は、台詞が少ないのに存在感が圧倒的だった。あの沈黙の中に込められた感情の揺れは、ニヒルさの極致だと思う。
『デスノート』の夜神月も計算高いニヒリストとして描かれているが、彼は常に目的のために動く合理主義者という点で、また違った種類の冷たさを表現している。台詞回しの鋭さと微表情の使い分けが、あの役の深みを作り出していた。
リアルな俳優だと、『ブレードランナー2049』でのハリソン・フォードの演技も忘れがたい。長年の孤独を背負ったデッカードは、最低限の動きで最大の情感を伝えていた。