現代英語で『paradise』と言うと、キリスト教的な『失われた園』のイメージが背景にある。一方の日本語の『楽園』には、『楽しさ』の要素が前面に出ている。『ディズニーランドは子供の楽園』という表現に典型的だが、英語で『Disneyland is a paradise for kids』と言うと少々大げさに聞こえる。
フェイマスという言葉を聞くと、真っ先に思い浮かぶのはラテン語の'fama'だ。この語源は'評判'や'噂'を意味し、時間をかけて英語の'famous'へと変化していった。
英語の'famous'は広く知られている状態を指すが、日本語の'フェイマス'はもう少し限定された使われ方をする印象がある。例えば、海外セレブが'famous'と呼ばれるのに対し、日本では'有名'や'人気者'という表現が好まれる。'フェイマス'はどちらかといえば広告やブランド名で使われることが多く、日常会話ではあまり聞かない。
この違いは、英語が状態をそのまま表現するのに対し、日本語では文脈や関係性を重視する傾向から来ているのかもしれない。英語圏の人に'You are famous!'と言えば素直に喜ぶが、日本人に'あなたはフェイマスだね'と言うと、少し違和感を覚える人もいるだろう。
翻訳の世界で『絶海』のような独特のニュアンスを伝えるのは、本当に骨の折れる作業だ。この言葉が持つ孤独感と広大な隔絶感を英語で表現する時、単純に 'remote sea' と訳してしまうと、原語の持つ詩的な響きが失われてしまう。
『Moby Dick』の翻訳を参考にすると、'the heart of the unpeopled ocean' といった表現が近いかもしれない。あるいは、文脈によっては 'the desolate expanse beyond the known waters' のようなリフレインが効果的だ。重要なのは、地理的な距離感だけでなく、心理的な疎外感も同時に伝えること。翻訳は単なる言語変換ではなく、文化的な感触をどう移植するかという芸術だ。