映画『Dagon』(2001年)はインスマウスを舞台にしていますが、ルルイエ的な要素も感じました。海に沈んだ古代文明の末裔たちが、
生贄を求めている設定が特にそう。
水中シーンでゆらめく奇妙な彫刻や、主人公の悪夢に現れる
異形の神々は、ルルイエの『大いなるクトゥルフ』を連想させます。低予算ながらも、粘液にまみれた怪物のデザインや不気味なBGMが、原作の不穏な雰囲気をよく再現しています。
ラストシーンの海底都市の全景は、まさにルルイエが昇降するかのような圧巻の映像美。ラブクラフト作品の映画化の中でも、特に原作の精神を捉えた稀有な例だと思います。