子どもの頃から教会に通っていた祖母は、聖書こそが天国の真実を伝える唯一の書だと信じていた。確かに『ヨハネの黙示録』には宝石で飾られた都の描写があり、具体的なイメージを与えてくれる。でも同時に、『千と千尋の神隠し』の湯屋や『GHOST IN THE SHELL』の情報の海も、どこか天国的な雰囲気を感じさせる。
やってみると、受付嬢の役は小さな窓口で大きな物語を成立させる仕事だと実感する。
僕は受付の立ち振る舞いを、常に“目的”と“障害”で組み立てるようにしている。目的は単純でいい――案内する、遮る、時間を稼ぐなど。それを妨げる要素を想定すると、自然な反応や間(ま)が生まれる。たとえば慌ただしい訪問者には短い遮りのジェスチャー、親しげな常連には微かな表情のゆるみを足すだけで関係性が明確になる。
映画的に言えば、カメラは顔の細部を拾うので、視線の移し方、指先の動き、呼吸の整え方が台詞と同じくらい重要になる。小道具──ペン、伝票、ベル──を自分の身体の延長として扱えば、シーンに自然なリズムが生まれる。参考にしたい空気感は『Grand Budapest Hotel』のような細部の積み重ねで、受付という立場から世界観を伝えるつもりで演じると良い。終わり方はいつも、その場の「残響」を残すことを意識している。