タイトルの中にひとつの英単語がぽつんと置かれていると、その響きだけで物語の重心がぐっと傾くことがある。ぼくはその“regrets”を、単なる後悔以上の余白として読むことが多い。具体的には、登場人物が過去に下した選択の重みと、それが日常に静かに浸透している様を指していると感じる。映画が静謐なトーンを選ぶなら、regretsは言葉にならない後悔や取り戻せない時間の匂いを運んでくる道具になる。
別の角度で見ると、regretsは観客側の参加を促す呼び鈴にもなる。たとえば'The Remains of the Day'のように、主人公の抑制された感情が回想を通じて映し出される作品では、タイトルの語が一種の告白を暗示している。観る側はその告白に共振して、自分の中の選択や取りこぼしを反芻する。
結局、映画の文脈次第でregretsは“個人的な悔恨”にも“普遍的な喪失感”にも振れる。だから僕は、まず映画がどの時間軸と語り方を選んでいるかを手がかりに、その単語を読み解くようにしている。そうすると、作品が伝えたい微かな光と影が見えてくる気がする。