翻訳の際は、単に字面を追うだけだと意味が通じにくくなる場面が多い。私は英語や他言語への置き換えで悩んだ経験があるが、肝は『無駄な説得』『効果がない努力』というコアの意味をどう別表現で担保するかにある。直訳の『chanting sutras into a horse’s ear』では不自然に感じられるため、状況に応じて 'preaching to the deaf' や 'casting pearls before swine' といった慣用表現を採用するのが現実的だ。
言語学習の観点からは、直訳は禁止に近い。直訳すると意味が通じない場合があるので、英語圏の等価表現 'preaching to the deaf' や 'casting pearls before swine' を紹介し、場面ごとにどれを使うかを比較する練習をさせる。単語の意味だけでなく、語感や相手との関係性を重視して覚えさせると定着しやすいと感じる。
表現のニュアンスを整理してみると、まず重要なのは直訳と慣用訳のどちらを選ぶかだ。『馬の耳に念仏』は文字通りなら“uttering Buddhist prayers into a horse's ear”といった形になり、原文の風味を残すには有効だが英語圏の読者には意味が伝わりにくい。
場面によっては“preaching to deaf ears”が自然で会話や説明文に馴染む。これは相手が話を聞く気がない、あるいは理解できない場合に使う表現で、僕が翻訳するときは人物の態度や文脈を見てこちらを選ぶことが多い。
もう一つの選択肢として“casting pearls before swine”もある。価値あるものを理解しない相手に与えるという含みが強く、皮肉や文学的な響きを出したいときに向く。状況に応じて直訳と慣用訳を使い分けるのが鍵だと思う。