比企 谷 八幡のキャラクターを再現するコスプレのコツは何ですか？

顔まわりの細かい作り込みが肝心だと感じる。まず体格の違いをどう埋めるかを考え、僕は衣服のラインを少し調整してバランスをとるようにしている。八幡は筋肉質でもなく、華奢すぎもしない中性的なシルエットだから、ジャケットの肩幅やウエストの落としどころを意識して仕立てると似合いやすくなる。

素材選びも重要で、ツヤが強すぎるものや新品感が強い生地は避けたほうがいい。僕の場合、厚手でややマットな生地を選んで“着慣れた感”を出すことで撮った写真に深みが出た。靴は黒の革靴に見えるスニーカーで代用しても違和感が少ないので、イベントで歩き回るならそれを勧める。さらに層（インナー／シャツ／ジャケット）の重ね方を工夫して、撮影時に胸元やネクタイの緩みが自然に見えるようにしている。

振る舞いの面では声のトーンと間の取り方を練習することを勧める。台詞をそのまま真似るよりも、短く切れ気味に、少し冷めた口調で言葉を落とすと八幡らしくなる。光の当て方も抑えめにして、強いハイライトを避けるとらしさが出る。たとえば『デスノート』で見られるような強い陰影を使ったシルエット的な撮り方は合うときがあるが、基本は自然光かやわらかい拡散光で表情の細部を拾うのがいいと思う。

八幡の服の「ラフさ」を再現することに集中すると、キャラの印象が驚くほど自然になります。まず制服はジャストサイズよりややゆったりめを選び、襟元やネクタイを少し崩すのがコツです。シャツのしわや袖の折れ目を意図的に作り、洗いざらし感を出すと“考え込むけど構わない”という雰囲気が出ます。僕は実際に古着のブレザーをベースにして、肩幅だけを少し詰める程度に手直ししてあります。

髪型はウィッグで作る場合、前髪を細めの束にして顔の一部を隠すようにすると八幡らしい陰影が出ます。毛先に軽くテクスチャーワックスを入れてバラつきをつくり、トップに自然なボリュームを残すと違和感が少なくなります。メイクは目の下に薄い影を入れて疲れた表情をやわらげつつ、極端な補正は避けました。表情作りでは、無表情と淡い嘲りの間を行き来する練習をして、瞬間ごとの“心の独白”が見えるように努めています。

撮影では、ポージングを固定せずに会話の合間のワンショットを狙うとキャラに説得力が出ます。手の位置や足の角度でだらしなさを演出しつつ、肩を少し丸めると内向きの性格が伝わります。小物は目立たないものを選び、たとえば適度に使い古されたバックパックやメモ一枚、スマホ一つで十分。『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の空気感を損なわないように、過剰な装飾は避けるのが僕流の最終ルールです。

細かい仕草で世界観が一気に固まるタイプのキャラだと感じるので、僕はまず“何もしない間”の作り方を重視している。視線の外し方、片手をポケットに入れるタイミング、口角が少し下がる瞬間――こうした小さな動きをいくつかストックしておくと撮影がスムーズになる。

衣装はベースを忠実にしつつ、アクセントは少なめにするのが良策だ。例えばネクタイを完全に外さず、ゆるく結び直すだけでキャラの無頓着さが表現できる。ウィッグの前髪は目にかかるくらいの長さで、指で軽く掻き分ける動作を練習しておくと自然な写真が撮れる。僕はイベント前に鏡の前で1分間だけ無表情で立ち、そこから一度だけ微かな笑みを作る練習をする。これだけで“冷めているけどどこか繊細”という印象が生まれやすくなるし、撮影中にも再現しやすい。

最後に小物は主張しすぎないものを選ぶとバランスが取れる。学校のID、少し色あせたノート、スマホの画面にメモを映すなど、細部で説得力を出すのが肝心だ。実際の雰囲気を大切にするなら、演技の細部を作り込むことがいちばん効果的だと感じている。