多くの人が衝撃を受ける場面として真っ先に思い浮かぶのは、'ベルセルク'の儀式描写だ。黒い剣や
生贄の群像が登場するエピソードでは、宗教的な象徴──聖職者の衣装や祈祷文の断片──が破壊的に扱われ、神聖とされるものが人間の弱さや業の露呈に利用される。
僕は初読のとき、描写の生々しさに息を飲んだ。神への
侮蔑というよりは、
権威と信仰の裂け目をえぐり出す手法で、登場人物たちの苦悩や狂気と結びついている。結果として読者は神聖なものが絶対ではないことを突きつけられ、快楽でも憎悪でもない複雑な感情を抱くことになる。
物語全体の世界観と結びついているため、単なる挑発ではなくテーマ表現の一部と受け止めている。だからこそ、
冒涜的だと感じる人もいれば、深い批評だと評価する人も多いのだと思う。僕にとっては忘れがたい衝撃の一つだ。