ジェーン・オースティンの『エマ』には、
高慢でお節介ながらどこか憎めないヒロインが登場します。田舎の名士の娘として育ったエマ・ウッドハウスは、現代風に言えば「
お嬢様」ですが、その振る舞いには貴族社会ならではの優雅さと皮肉が同居しています。
物語は彼女が周囲の結婚話に首を突っ込むところから始まりますが、その過程で彼女自身も成長していきます。ティーカップを片手にした会話の応酬や舞踏会の描写からは、当時のイギリス上流社会の息遣いが伝わってくるようです。エマの着るドレスの描写や、彼女が使う扇子のさばき方など、細部にも貴婦人らしさが滲み出ています。