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36.*****

Author: よつば 綴
2025-06-23 17:00:00

 事件から一夜、薬の所為かまだ頭がぼーっとしている。昨夜の記憶がかなり曖昧だ。

 芯に『好き』だと言われた気がするけれど、都合のいい夢だったのだろうか。あんな事の後なのだ。僕自身が捏造した記憶という可能性は非常に高い。

 むしろ、嫌われていないのだろうか。真実を確かめてしまうのが怖い。どうして芯は、まだこの部屋に居てくれるのだろう。

 起きたら、芯が僕の胸に抱きついて眠っていた。薄ぼんやりと、手を繋いでベッドに入ったのは覚えている。何か話をした気がするが思い出せない。

 朝食を用意しておこうと、そっとベッドを抜け出したが起こしてしまった。目を擦りながら、『腹減った····』と呟く芯。安定の可愛さだ。生まれたままの姿だった芯に、僕のシャツを着せる。

 さっと朝食を用意し、寝惚け眼の芯を呼ぶ。ポケッとしたまま食卓に着かせ、袖口を捲ってあげた。

 芯は、まだ開ききらない目を懸命に開き、バターをたっぷり塗ったトーストに小さな口で齧りつく。『美味ぇ』と一言漏らし、あっという間に平らげた。昨夜から何も食べていないから、お腹が空いていたのだろう。

 片付けついでに、口の周りについたパン屑を舐めとったら怒られた。愛らしさにアテられ、本能が先走ってしまったのだから仕方がない。

 僕達は、奏斗さんについて話をする。殆ど、芯が語る奏斗さんの愚痴を聞いているだけで、対策を練るなど無意味な話はしない。僕の失態についても、一切触れずにいてくれた。そんな優しさが、今は傷をぬるく抉る。

 ただ、僕が奏斗さんを招き入れないよう努力はしろと言われてしまった。勿論そのつもりだが、自信はないと先に謝る。芯は、呆れた顔で『期待してねぇよ』と笑った。

「芯は、身体大丈夫なの? お尻痛くない?」

「身体はまぁ、普段からハードなセックスで慣れてっから? ヨユー。てかケツは昨日薬塗ってくれたじゃん。若干痛ぇけど、使えなくもないかなって感じ」

 嫌味混じりに返される。使えなくもって····、これだから庇護欲が掻き立

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