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Home / 恋愛 / あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。 / chapter30

chapter30

Author: 水沼早紀
2025-06-25 09:04:40

 しかし、そんなある日のことだった。

「佐倉さん」

 後ろから聞き覚えのある声がした。 このハイヒールの音に、私は聞き覚えがあった。

「……なんでしょうか」

 その声の方に振り返ると、目の前にいたのは、やはり藤堂さんだった。

 この前会った時みたいに、ハデな格好をしている。

「ちょっといいかしら?」

「すみません。今、仕事中なんですが」

「少しでいいの。時間とれない?」

 私はため息を吐き、「……分かりました。少しだけなら」と彼女に告げた。

 今度は一体、私になんの用なの? 私は話すことん、何にもないのだけど。

「ありがとう。 ちょっと移動しましょう」

 二人で喫煙席のある席へと移動する。

「……あの、私に何か用ですか?」

 藤堂さんの方に振り向くと、藤堂さんはタバコを取り出し、気だるそうに吸い始める。

「恭平さんとは、別れる気になった?」

 タバコの煙をゆっくりと吐き出した藤堂さんは、そう口を開いた。 そして私の方に視線を向ける。

「……何を言ってるんですか?」

「あら、まだ別れてないの? この前私、あなたに言ったわよね? 恭平さんと"別れて"って」

 藤堂さんはタバコを灰皿に押し付けると、私にそう告げた。

「……私は、イヤだと申し上げたはずですが?」

「あら、まだ分からないの? あなたと恭平さんじゃ、格が違うのよ。 釣り合わないわ」

「……一体、何が仰りたいんですか?」

 なんでそこまで言われないとならないの……。

「ここまで言っても、まだ分からない? あなたって本当に鈍いのね。……つまり私は、あなたと恭平さんとじゃ、不釣り合いだと言いたいのよ」

 藤堂さんが再び、タバコに火をつける。

「……不釣り合い?」

「そうよ。恭平さんがあなたみたいな人を好きになるとか、本気で思ってるの? あなたは単に、彼に遊ばれてるだけなのよ」

 そう言った藤堂さんは、タバコの煙の奥でニヤリと怪しく微笑んだ。

 何も言えない私に、藤堂さんは「あら、もう怖じ気づいちゃった? まあ、そうよね?あなた鈍感だし、恋愛なんてまともにしたこと、なさそうだもの。 いい?この際だから教えてあげる。恭平さんは、あなたに同情してるのよ」と私に告げた。

「……同情?」

 同情だなんて、そんな訳ない。 課長の気持ちは、本物に決まってる。

 じゃなきゃ、一緒に住もうだなんて絶対に言わないはずだ。

「そうよ
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