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Home / 恋愛 / あの夜を捧げて笑われたけど、私はMITに合格した / 第6話

第6話

Author: スカーレット・フレイム
帰国の日。

偶然にも、それはイーサンの進学祝いのパーティーと重なっていた。

彼の父親は、現役のマフィアのドン。

イーサンも、大学へ進学したあとは徐々にその職務を継ぐ予定だ。

だからこのパーティーは、名目こそ「進学祝い」だけど――

実際は裏社会の関係者が顔をそろえる、ビジネス交渉の場だった。

うちの会社も、彼の父に少なからず依存している。

私が出席を渋ると、両親は困ったような顔をした。

……だから、私は黙ってうなずいた。

ドレスをまとい、重たい気持ちのまま会場に足を踏み入れる。

入った瞬間、すぐに目に飛び込んできたのは――

あの日以来、二ヶ月ぶりに見るイーサンの姿だった。

ぴしっとしたスーツに身を包んだ彼は、あの卒業パーティーのときよりもさらに大人びて見えた。

久しぶりに見るその横顔に、私は言葉にならない感情を抱いた。

胸がきゅっと縮んで、息が浅くなる。

……今、自分がどんな顔をしているのか、分からなかった。

ただ、無意識に距離を取ろうとする。

けれど、イーサンはこちらに気づき、視線がぶつかった。

私はすぐに目を逸らしてその場を離れようとしたけれど――

イーサンが数歩早足になって、私の手首を捕まえた。

「シンシア……」

眉をひそめて、何か言いかけたその瞬間――

彼の腕に、すっと白い指が絡んできた。

「やっほー、イーサン」

彼に甘えるように身を寄せたのは、シルヴィアだった。

彼女はイーサンの腕にぴったりとくっついたまま、私の方を向いて微笑んだ。

「あなたがシンシアさんよね?いろんな人から話聞いてるの。イーサンの一番仲のいいお友達だって。

これまでイーサンのこと、ずっと支えてくれてありがとう」

――笑顔なのに、なぜか見下ろされているような気がした。

この人はもう、「自分が彼のパートナー」って立場で私を見てるんだ。

そう思った瞬間、胸の奥が静かに、でも確かに痛んだ。

私が何か言う前に、イーサンが先に声を荒げた。

「誰がアイツと友達だよ。すぐ不機嫌になるし、面倒くさくてやってられないんだよな。北極に行ったんなら、ずっと帰ってこなきゃよかったのに」

その口調は、明らかに苛立ちを隠していなかった。

――でも、私は返事をしなかった。

今さら何を
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