イーサンに「許さない」と言われてから、それっきり彼の姿を見ることはなかった。
アヴァが、イーサンとシルヴィアが正式に付き合い始めたっていうツイートを送ってきたけど――
私は一目見ただけで、すぐに削除した。
もう私には関係のない人。
だったら、わざわざ気にする必要なんてない。
アヴァにも「これからはイーサンの話題は送らないで」ってはっきり伝えた。
――もう二度と顔を合わせることもない。
……そう思ってたのに。
大学への出発日。
なんというか、ついてないことに――空港で、イーサンとシルヴィアにばったり会ってしまった。
向こうも、私に気づいた。
けど、たぶんまだ意地を張ってたんだろう。
目を合わせようともせず、そっぽを向いたまま素通りしていった。
私も何も言わず、すっと視線を外して登機口へ向かう。
……ちらりと視界に入ったのは、イーサンがこちらを鋭くにらんでいる姿。
でも、その腕をシルヴィアが引っ張って、どこかへ連れていった。
アヴァはあきれたようにため息をついて、私の手を引いてくれた。
その日以降――イーサンとは、本当に一切の連絡を断った。
連絡先はすべてブロックしたし、彼が誰かを通じて接触してこようとしても、断固として受け入れなかった。
なのに、意外なことに。
新しい環境に飛び込んだ私は、驚くほどすぐに友だちができた。
大学のサークルに入って、先生のプロジェクトに同行して出張もした。
毎日がめまぐるしくて、だけど楽しくて、前向きで――
その中で、ふと気づいた。
ああ、イーサンが「ひとりの人だけに縛られるのが嫌だ」と言ってた気持ち、少しだけ分かる気がする、と。
ずっと誰かの後ろを追いかけてばかりだった私には、想像もできなかった世界。
でも今は分かる。
この広い世界には、面白いことや素敵な人が、まだまだたくさんある。
人生は長い。
なのにどうして、私はあんなに早く、ひとりの相手にすべてを捧げようとしてたんだろう。
大学二年の頃、高校時代の同級生がマサチューセッツに遊びに来た。
それが、私にとって久しぶりにイーサンの名前を聞く機会だった。
「イーサン、大学入ってすぐにシルヴィアと別れたんだってさ。
そのあとも何人か付き合ったらしいけど、どれも長