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Home / 恋愛 / あの夜を捧げて笑われたけど、私はMITに合格した / 第8話

第8話

Author: スカーレット・フレイム
イーサンに「許さない」と言われてから、それっきり彼の姿を見ることはなかった。

アヴァが、イーサンとシルヴィアが正式に付き合い始めたっていうツイートを送ってきたけど――

私は一目見ただけで、すぐに削除した。

もう私には関係のない人。

だったら、わざわざ気にする必要なんてない。

アヴァにも「これからはイーサンの話題は送らないで」ってはっきり伝えた。

――もう二度と顔を合わせることもない。

……そう思ってたのに。

大学への出発日。

なんというか、ついてないことに――空港で、イーサンとシルヴィアにばったり会ってしまった。

向こうも、私に気づいた。

けど、たぶんまだ意地を張ってたんだろう。

目を合わせようともせず、そっぽを向いたまま素通りしていった。

私も何も言わず、すっと視線を外して登機口へ向かう。

……ちらりと視界に入ったのは、イーサンがこちらを鋭くにらんでいる姿。

でも、その腕をシルヴィアが引っ張って、どこかへ連れていった。

アヴァはあきれたようにため息をついて、私の手を引いてくれた。

その日以降――イーサンとは、本当に一切の連絡を断った。

連絡先はすべてブロックしたし、彼が誰かを通じて接触してこようとしても、断固として受け入れなかった。

なのに、意外なことに。

新しい環境に飛び込んだ私は、驚くほどすぐに友だちができた。

大学のサークルに入って、先生のプロジェクトに同行して出張もした。

毎日がめまぐるしくて、だけど楽しくて、前向きで――

その中で、ふと気づいた。

ああ、イーサンが「ひとりの人だけに縛られるのが嫌だ」と言ってた気持ち、少しだけ分かる気がする、と。

ずっと誰かの後ろを追いかけてばかりだった私には、想像もできなかった世界。

でも今は分かる。

この広い世界には、面白いことや素敵な人が、まだまだたくさんある。

人生は長い。

なのにどうして、私はあんなに早く、ひとりの相手にすべてを捧げようとしてたんだろう。

大学二年の頃、高校時代の同級生がマサチューセッツに遊びに来た。

それが、私にとって久しぶりにイーサンの名前を聞く機会だった。

「イーサン、大学入ってすぐにシルヴィアと別れたんだってさ。

そのあとも何人か付き合ったらしいけど、どれも長
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