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Home / 恋愛 / あの夜を捧げて笑われたけど、私はMITに合格した / 第9話

第9話

Author: スカーレット・フレイム
クリスマス当日。

その日の夜、まさかと思っていたら――

イーサンが私たちの家のドアをノックした。

「叔母さん、うちの両親、出かけちゃって。今年のクリスマスはひとりで過ごす予定で……一緒に過ごしてもいいですか?」

その口調は、意外にも丁寧だった。

両親も断る理由がなかったのだろう。

イーサンを家の中に招き入れた。

自然と、彼は私の隣に座った。

正直、席を離れたかったけれど――

それもあからさますぎる気がして、そのまま黙って座り続けた。

親戚の叔母たちは、私たちの間に何があったかを知らず、昔のように軽い調子でふたりをからかってくる。

イーサンは最初、愛想よく笑って応じていた。

けれど、私が穏やかに――まるで何もなかったように、一つずつ丁寧に説明していくと、

彼の表情が、じわじわと曇っていった。

やがて夜も更けて、家族たちがそれぞれの部屋へと引き上げていく。

私も部屋へ戻ろうと立ち上がったとき、背後からイーサンに手を掴まれた。

「……そんなに、俺との関係を否定したいのかよ」

その問いかけに、私は首をかしげて返す。

「関係?……何かあったっけ、私たちの間に?」

その言葉で、イーサンは動きを止めた。

言葉を失ったように、その場に立ち尽くす。

何かを言いかけた彼の声を遮るように、私のスマホが鳴った。

表示された名前――マイルズ。

私の大学の同級生で、出会ってからずっと、私に好意を持ってくれている人。

最初は何も感じていなかったけれど……

イーサンとのことを清算し終えた今となっては、彼の存在は少しずつ心に入ってきていた。

マイルズは、イーサンのように強引じゃない。

静かに寄り添ってくれて、必要な時にちゃんと手を差し伸べてくれる。

その日も、彼との会話は心地よかった。

マイルズと話していると、不思議と話題を探す必要がなかった。

いつも、気づけば時間が過ぎていて――気まずさも沈黙も、どこにもなかった。

「シンシア、メリークリスマス」

もう日付が変わって、深夜になっていた。

名残惜しそうに、マイルズが電話を切った。

「うん、メリークリスマス」

通話を終えて、スマホを置いてふと振り向くと――

そこに、まだイーサンがいた。

いつからそこに立って
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