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終章⑧

Author: 佐藤紗良
2025-06-24 20:00:01

「青藍、見つからないや。……洞窟いこうか」

「ないですか、困りましたね」

「でも、確実に鬼治からだよね」

「佐加江。私たち、マジで番ですね!」

「鬼が『マジ』とか言わないの!」

「使い方、間違ってましたかぁ」

「合ってるけどさ……。青藍がこの世に毒されてチャラ男になったら困る」

最近覚えた言葉を披露して笑った青藍は庭先で目を閉じ、唇の前に人差し指を立て小さく唇を動かす。

「え……」

額に瘤ができ、それが次第に伸びていく。身体も一回り大きくなって、着ていた服がパツパツに弾けそうになっている。ぶるっと身ぶるいをした青藍は服こそ、こちらの世界のものだが鬼の姿になった。

「そ、そんな事が出来るんだ!」

「あやかしの姿から人になるのは容易ですが、逆は人の体力では消耗が激しくて。あまりしたくないのですが、先ほどから鬼笛が全く聞こえない上に、あやかしの気配もなくなったのが、どうも妙です。こちらの方が感受性が強いのでーー。コートだけは、はちきれるといけないので脱いでおきましょうね」

「やっぱり……、綺麗だよね」

「惚れ直しますか?」

「うん! ベタ惚れ。ちょっと気になる事があるから、診療所の方も見てくるね」

「佐加江、そう言うことは……」

滅多にそう言うことを口にしない佐加江には、面と向かって言ってもらいたいものだ、と青藍は佐加江が不貞腐れた時を真似て唇を尖らせ、後をついて行く。

「やっぱり」

診療所の荒れ具合は、酷いものだった。床にカルテなどが落ち、土足でそれを踏みつけた靴跡がある。金庫は開け放たれ、中は空っぽ。「敏夫の時は冷凍の保存技術が追いついていなか
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