自分のことのように喜んでくれる羽衣を見ていたら、何だか私まで目頭が熱くなってきた。
「ありがとう、羽衣」 羽衣はいつも私のことを応援してくれて、たくさん相談にものってくれて。どんなときも、私の味方でいてくれた。 だから、こうして羽衣に嬉しい報告ができて本当に良かった。 ** ホテルを出てクラスごとに博物館を見学した後、班ごとに分かれての自由時間。 「佐野〜、陽菜ちゃんと二人だからって、一線は越えたらダメだからな?」 亜嵐くんがニヤニヤ顔で、伊月くんの腕を小突く。 「長谷川に言われなくても、分かってるよ」 「そうか〜?まあ、俺と羽衣ちゃんのことは気にせず、二人でごゆっくりー!」 ありがとう、亜嵐くん。 羽衣と亜嵐くんに手を振ると、私と伊月くんは並んで歩きだす。 「陽菜」 ごく自然に、伊月くんが私の手を掴んだ。 「その……街中ではぐれたりしたら、ダメだろ?」 そっか。手を握られて最初ドキッとしたけど、そういうことか。 「って、今のはうそ。本当は、俺が陽菜と手を繋ぎたかったから」 伊月くん……。 「うん。私も手を繋げて嬉しいよ」 伊月くんから伝わってくる温もりに、胸がくすぐったくなる。 手を繋いだまま、歴史ある街並みを伊月くんと歩く。 「へえ。ここ、恋愛成就の神様が祀られている神社なんだって」 たまたま通りかかった大きな鳥居がある神社の前で、伊月くんがスマホを手に呟く。 見たところ、カップルや女性の参拝客もかなり多い。気になるなあ。 「せっかくだし、行くか?」 「うん!」 伊月くんと一緒に、神社に足を踏み入れる。 「このハート型の絵馬に名前を書いて愛を誓うと、ご利益があるらしい」 「ふふ。ハート型の絵馬、可愛い」