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Home / 恋愛 / たとえ、この恋が罪だとしても / 6・スタジオで

6・スタジオで

Author: 泉南佳那
2025-06-26 07:17:39

「ちょっとしたテストだからメイクも簡単なものだけど、本番のときは本格的にするから安心していいわよ」

いいえ、今日のメイクも充分すごいです……と言おうとして振り向いて、息をのんだ。

鮮やかなアクアブルーのスーツに身を包んだ、気後れしてしまうほど美しい女性が部屋に入ってきたからだ。

「ふーん、化けたわねえ。さすが瀧人が惚れこんだだけあるわ」

値踏みするような視線で上から下まで眺められて、穴があったら入りたい気分になった。

いまさらながら足が震えてきた。

「近藤紗加よ。瀧人と共同でここを仕切ってるの。よろしく」

そう言いながら、彼女は名刺を差しだした。

「ふっ、藤沢文乃です、あっ! きゃあ、すみません」

名刺を受け取ろうと立ちあがった拍子にスツールを思い切り倒して、大きな音を立ててしまった。

紗加さんは少しだけ口角を上げて笑みを浮かべた。

「大丈夫。そんなに緊張しなくても。何も取って食いやしないから」

いや、緊張するなって言うほうが無理です。

絶対無理。

「何々、どうしたの?」

音を聞きつけて安西さんもやってきた。

「何でもないわよ。椅子が倒れただけ」

「そうなんだ、ケガしなかった?」そう言って、わたしの顔をのぞき込んでくる。

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