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Home / 恋愛 / たとえ、この恋が罪だとしても / 6・スタジオで

6・スタジオで

Author: 泉南佳那
2025-06-26 07:18:02

「だ、大丈夫です」

そんな至近距離で見つめられたら、恥ずかしくて顔があげられない。

「じゃ、あっちの部屋で着替えてきてくれる? 撮影始めるから。すぐ終わるからね。大丈夫、何も取って食うつもりじゃないからさ」

よっぽど不安が顔に出ているのだろうか。安西さんにも同じことを言われてしまった。

手渡されたのはシンプルな白いノースリーブの、丈の長いワンピース。

特に抵抗なく着られるものだったので、少しほっとした。

「うわ、イメージ通りだ! いいよ、やっぱりおれの眼に狂いはなかった!」

おずおずとスタジオに足を踏みいれると、安西さんが目を真ん丸にして大げさな口調で言う。

「じゃあ、ここに座って」白一色の背景のなかにぽつんと置かれたアンティークの椅子を指さして言った。

目を開けていられないほどライトがまぶしい。

さっきメイクしてくれた人が大きな銀色の板をわたしの横にかざしている。

もうその状況だけでパニック状態だ。

「次はちょっと立って、椅子の背に手を乗せて。そうそう。いいよ」

それから、どれくらいの間、撮影していたのだろう。

たぶん、10分ぐらい。

でもわたしにはもっと長く感じられた。

「はい、おしまい。お疲れ!」と言われ、まだ茫然としたまま着替えをすませ、スタジオに戻った。

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