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18-2.ヒビキは仕事に疑念をさしはさむ

2025-06-16 18:00:26

 8階。ここが情報管理室。ジョーシツね。

誰もいない。ユサ、さっそくPCに張り付いてる。作業完了? 早いね。

「これ借りて行きまーす。明日、返却しますのでって、誰もいないけど、一応」

 でっかいバインダー。

「それ何?」

「システム設計書。入社したての頃、セイラが命がけで作ったの」

 命がけで? 頑張り方あってたんじゃない。

「でも、あいつが全部横取りした」

「あいつ?」

「YSS 砂川システム開発部チーフ」

「誰それ?」

「長坂モンキーズ幹事、ハンドルネーム、エイプ100」

 あ!

「そう。ヒビキのおかげで、セイラ、SEに返り咲き!」

 そうだったんだ。そういうことなら、あたしも死にそこなってよかったよ。

「さ、セイラ。議事堂へ」

 セイラ、どうした? 立ち止まって。

「……やっと、仕事で名前呼んでくれたね。カリン」

 また泣く。いままでごめんね、セイラ。

「ほら手を貸しなって、急ぐよ」

「うん」

 上の階へ。

「ジョーシツの管理PCでしてたことって」

「議事堂にネット繋いどいた。スレッターの動画見てもらうために」

 センプクさんたち、待ってるな。ここからは、中階段。

 わ! ドア開けたら蛭人間だらけ。

セイラ下がって! ドア閉め! あぶなかった。でも、なんだか静かだな。もういちど覗いてみよう。逃げる準備して、開ける! 閉める! 動きなし。ひょっとして。

「カリン。ここの蛭人間、襲って来ないんじゃない?」

 それ、考えてたところ。

理由は分からないけど、蛭人間反応ない。8階から10階まで2階分上がるだけだな。水平リーベ棒しっかり持ってっと。

「セイラ。なるべく音立てないように」

 蛭人間、ゆっくり下に移動してる?

 刺激臭で息できない。虫の巣に入ったみたい。足元がぬらぬらしてる。粘液状のものが床から壁から覆い尽くしてて、きもい。すごい数の改・ドラキュラやカーミラ・亜種が列を作
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