8階。ここが情報管理室。ジョーシツね。
誰もいない。ユサ、さっそくPCに張り付いてる。作業完了? 早いね。 「これ借りて行きまーす。明日、返却しますのでって、誰もいないけど、一応」 でっかいバインダー。 「それ何?」 「システム設計書。入社したての頃、セイラが命がけで作ったの」 命がけで? 頑張り方あってたんじゃない。 「でも、あいつが全部横取りした」 「あいつ?」 「YSS 砂川システム開発部チーフ」 「誰それ?」 「長坂モンキーズ幹事、ハンドルネーム、エイプ100」 あ! 「そう。ヒビキのおかげで、セイラ、SEに返り咲き!」 そうだったんだ。そういうことなら、あたしも死にそこなってよかったよ。 「さ、セイラ。議事堂へ」 セイラ、どうした? 立ち止まって。 「……やっと、仕事で名前呼んでくれたね。カリン」 また泣く。いままでごめんね、セイラ。 「ほら手を貸しなって、急ぐよ」 「うん」 上の階へ。「ジョーシツの管理PCでしてたことって」
「議事堂にネット繋いどいた。スレッターの動画見てもらうために」センプクさんたち、待ってるな。ここからは、中階段。
わ! ドア開けたら蛭人間だらけ。 セイラ下がって! ドア閉め! あぶなかった。でも、なんだか静かだな。もういちど覗いてみよう。逃げる準備して、開ける! 閉める! 動きなし。ひょっとして。 「カリン。ここの蛭人間、襲って来ないんじゃない?」 それ、考えてたところ。 理由は分からないけど、蛭人間反応ない。8階から10階まで2階分上がるだけだな。水平リーベ棒しっかり持ってっと。 「セイラ。なるべく音立てないように」 蛭人間、ゆっくり下に移動してる? 刺激臭で息できない。虫の巣に入ったみたい。足元がぬらぬらしてる。粘液状のものが床から壁から覆い尽くしてて、きもい。すごい数の改・ドラキュラやカーミラ・亜種が列を作