傍聴席から誰かが飛び出して来た。
「レイカ!」
なんでカレー☆パンマン?
場内。爆笑。
でも見る人によって見え方が違うんだ。
ウチにとっては、あのカレー☆パンマンはスーパーヒーロー。
助けに来てくれたんだ、カリンが。
「あんたたちの親族を殺したのは町長だ!」
「これを見てください」
セイラ。いつの間に後ろに。でっかいバインダー抱えて。
モニターに大写しになった真っ赤な背景のスレッター画面。
妓鬼討伐の記事が投稿されたタイムライン。
逐一増えてゆく投稿の数。
「なんだ、それがどうした」
「すべて、辻王がやったことだろ」
「違う。これは今現在辻沢で起こっていることだ。今まさに人間のゲーマーを使ってヴァンパイアを殺させてるんだ」
「ナニをいう。人間なんぞに、我々が殺せるものか」
「正確にはヴァンパイアのあなたたちの留守を狙って、お連れの方を殺させてるんです。今日は、皆さんがここに集まる日。それを狙ってゲームは『妓鬼・フィーバーナイト』を開催中です。大量のゲーマーが辻沢の街に放たれています」
「セイラ、生実況を。管理者でログインして」
「データベース覗いたけど、セイラのIDだと参照までしかできなかったの。管理者IDは見れたけど、パスワードが暗号化されててダメだった」
「マジ? どうして言わなかったの?」
「だから不安だって」
「なんかそれらしいの入れちゃえば?」
カリン、それはちょっと乱暴すぎじゃ。
「設計書じゃ、パスワードは英数文字の混合なんだけど」
「レイカ知らない?」
知るわけないでしょ。
痛い! このゲリ男改めセーヘキめ! ぶっ飛ばす。ここでウチがやられたらヒマワリにゼリー届けらんないから……。
(あれ、ここに入れといたドカ盛り白桃ゼリーなくなってる)
(「それにちゃんとお礼置いといたろ」)
(「ごシューショーサマ。レイカはこれからハリツケゴクモンっと。じゃ、ゼリーまたよろしくな」)
(死んだらゼリー届けらんないよ)
そっか。あの時、引き出しに入っていたメッセージはドカ盛り白桃ゼリーのお返しだったのね。
何て書いてあったっけ。「レイカ死ね」だった。まったくヒマワリらしいよ。
「レイカシネ! セイラ! ローマ字は、レイカシ