Search
Library
Home / ファンタジー / ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ / 5-4.ヒビキは引き続き調査する

5-4.ヒビキは引き続き調査する

2025-04-14 18:00:26

 さっきまでと違い、やたらと暗い画面で静止画像かと思うほど動きがない。でもよく見ていると何かが画面の底で蠢いている。しばらくすると、蠢いていたものがゆっくりと立ち上がり、何かを手にぶら下げながら立ち去って行って動画が終わった。さっきのとこれとの違いは、ウエアラブルカメラの映像と設置カメラの映像であるところだ。暗すぎて細かいことは分かりにくいけれど、画面からは言いようのない背徳感が滲み出している。

「闇の匂いする」

「だよね。だからヒビキに観てもらおうって」

「ユサって広報だったよね。何か知ってるんでしょ」

「知らないの」

「知らないって。それでどうやってこのプロダクトのこと広報してんの?」

「広報の仕事って言っても、ポスターの印刷頼んだり、ユーザ宛てのメールの文書作ったりするだけだもん。だからほとんど蚊帳の外」

 なんだ、使えないか。

「これでも頑張ったんだよ。なんとか食い込もうと思って。でもダメだった、ヒビキと違って」

 あたしはそうならないように、うんとアタマ働かせてやって来たけどね。

「それでも、他の人が知らない余計なことは知ってる」

 聞きたかない。

「だから、この動画アップしたのは、カイチョーって言える」

 なに泣いてんだよ。こいつのこういうところが嫌なんだ、ホント。

 それから観られるだけ観たけど、どれもこれも同じような動画だった。フィルターがかかってる?

「ヒビキ分かる? カイチョーの投稿にパターンがあるの」

「パターン?」

「うん。短期間のうちに3回あげたら、1、2ヵ月空けてまた短期間で3回あげてる」

 タイムラインをhoukeikamenで検索して、日付でソートするとユサが言うとおりのパターンが見て取れた。

「ホントだ。よく気づいたね」

「システムやってると、タイムスタンプにはうるさくなるんだよね」

 なるほど、習性ってやつか。

「ユサんところの社長SNSってあるじゃない。あれって見てる?」

「カイチョーの『桜の森の満太郎のつぶやき』? 見てない。一、二度見たけど、許せな
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP