「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」
ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、「おーい、いたぞ!」 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。「ターゲット!」「パツキン。真ん中のヤツ!」 セイラのこと?「いかにもだな」「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」 本のページ必死にめくってるやつ。「県北女子高御三家でもない」「他県のだろ?」「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」「バーカ! セイラは人間だよ」「しゃべった? ヴァンパイアが?」 向うがひるんだ瞬間、カリンが、「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?「いった!」「ちょっと、なにすんの」 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?「待った。ピンの場所間違ってないか?」「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」「青しかあってねーし」「マップ担当、しっかりしろよ」「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」「「「スレイヤー!」」」「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」「「「こえー」」」「先を急ぐぞ。夜は