なんとか説明して、北村シニアマネに分かってもらった。
「すまなかったね。いやー、勘違い。ここに座るのはみんなそーなのかと思ってしまって」 そんなのは、北村シニアマネだけでしょう。バランスボール、座りたくなくなった。「なに聴いてたの?」 これですか?「三味線の音がもれてたから」 スピーカーON。「あれ? 片っ方のイヤホン、渡して聞かせてくれないの? よく公園のベンチで恋人同士がやってるじゃない」 どうしてあんたと恋人同士みたいなことしなきゃならない? 変な親近感持ってもらっちゃ困るんだよ。ぢー仲間じゃないからな。「これ、宮司の奥さんの声に似てるな。三味線も?」 北村シニアマネお知り合いなんですか? 実は、役場のカルチャーで……。「やっぱりそうなんだ。懐かしいな。あの時、千福オーナーのところで宮司の奥さんにもお稽古つけてもらった」「二人だけかと」「千福オーナー三味線弾けないからね」 そうなんだ。「宮司の奥さんも美しい人でね。お姉さんだけあって」「え? お姉さんなんですか?」「そうだよ。双子のね。美しいと思わないかい?」 それは認めます。物腰がおちついているからそれなりのお年だとは思うけど、「20代に見えるくらい若々しいです」 大げさなようだけど、実際あたしとタメに見えることある。「そう、僕の時も20代に見えたけど。美人は年を取らないものなんだね」 20年前から年を取らない?「あの頃は、二人は仲睦まじくてね。まるで恋人同士のようだったんだよ」 まるで恋人同士。「ひょっとしてですけど、お師匠さんて千福オーナーのこと人に話すとき」「《《あの人》》って言うよ。弟だけどまるで彼氏みたいにね」「じゃあ、志野婦神社の土地の所有者って、千福オーナー?」「そうだよ。以前はもっとあったが今はあそこだけだよ」 お師匠さんのターゲット間違ってた。宮司さんでなくって、千福オーナーだった。なら、あの人がしてる危