彼はずっと無表情のままだったが、マイケルを見た瞬間、何とか自制しようと努力し、平静を装っていた。
それを見て、商治はすぐに察した――彼は自分の言葉をちゃんと受け止めてくれている。マイケルに余計なプレッシャーを与えないようにしているのだ。
今の時也こそ、かつての彼に近い。
冷静で、賢く、何事にも動じない。
だがそれでも、やはり昔の彼ではなかった。
以前の彼は、いつも「自ら動く」タイプだった。
今の彼は、華恋のために「受け身で抑え込んでいる」。
はあ......
商治は、ふとそんなことを思っていた。
その時突然、
診察室の中から華恋の苦しげなうめき声が聞こえてきた。
隣の時也の体が反応した。
商治はすぐに彼を押しとどめた。
「時也、これは避けては通れない道だ。華恋が苦しむのを見たくないなら、外で待っていたほうがいい」
時也の体の震えは次第に弱まり、鋭い目つきで診察室のドアを睨み続けた。
診察室の中では、華恋が苦しそうに眉をひそめ、何かを無意識に呟いていた。
その表情は、強い拒絶の感情を物語っていた。
時也の胸は、まるで誰かに激しく掻き回されているように痛んだ。
全身の細胞が彼に訴えていた――「中に入れ、彼女を助けろ」と。
しかし、その足を動かさせないのは、彼の理性だった。
華恋と本当に一緒に歩んでいくには、彼女の心に残された賀茂爺によるトラウマを根こそぎ取り除く必要がある。
さもなければ、それは永遠に二人の間の障害になるだろう。
彼は拳を強く握りしめた。
鋭い視線で、華恋を見つめた。
彼女の痛みを、自分が代わって背負いたい。
そんな思いでいっぱいだった。
だが、まさにその時、昏睡状態にあった華恋が、突然ガバッと起き上がった。
そしてマイケルの手元にあったトレイをひっくり返した。
「やだ、嫌だ......私、自分の親がいい!自分の父さんと母さんがいい!」
叫んだ直後、華恋は目をカッと見開いた。
全身が激しく震え、胸は大きく上下していた。
それを見た時也は、もう我慢できず、診察室に駆け込んだ。
すぐに華恋を力強く抱きしめた。
汗でぐっしょりと濡れた華恋の体が、彼の高価なスーツを濡らしていく。
だが、彼の目には、震えて怯える華恋しか映っていなかった。
「大丈夫だよ、もう大丈夫だから......」
まるで子