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Home / 恋愛 / 七年の嘘、愛も憎しみも虚しく / 第7話

第7話

Author: 半夏moon(はんかのムーン)
目の前に突きつけられた離婚届を見つめながら、嘉山は未だ現実が飲み込めないようで、困惑した声を漏らした。

「爺さん、離婚って……何の話だよ?」

相澤当主は苦々しい顔で言い放つ。

「これだけ時雨に酷いことをしてきて、まだ縛りつけようってのか?お前には人の心ってもんがないのか?」

嘉山の顔には困惑の色が浮かび、無意識に私へと視線を向けた。

「時雨……本当に、俺と別れるつもりなのか?」

私は羽織をぎゅっと握りしめ、落ち着いた声で答える。

「そうだよ。もう二度と、あなたに私の貧しさを我慢させることはないから」

嘉山の顔色がさっと青ざめ、声を潜めて言う。

「それは怒ってた時に言っただけだろ?本気にするなよ!

時雨、これまで俺は悪かった。でも全部、俺の誤解だったんだ!

今はもう誤解も解けたし、お前が俺を愛してくれていることも知ってる。これから二人でちゃんとやり直そう?な?」

私は嘉山を見つめ返し、どうしてこんな言葉が口から出てくるのか不思議で仕方なかった。

結婚して七年。私が受けてきた苦しみは、「誤解だった」の一言で済まされるのか?

彼の軽い物言いに、思わず笑いそうになった。

私は彼の手を冷たく振り払い、きっぱりと言い放つ。

「勘違いしてるみたいだけど、私はあなたを愛してなんかいない」

嘉山はすぐさま反論し、自信満々に言う。

「ふざけるな!愛してなきゃ、なんで俺の言うこと何でも聞く?どんなに酷いことしても許してくれたのは何でだ?

いいか、これからはちゃんと償う。お前の望むもの、何でも与えるから!」

私は口元を歪めて、皮肉を込めて笑った。

「当主が全部話してくれたから、もう隠すこともないわ。

私があなたと結婚したのは、愛でも金でもない。ただの恩返しよ」

「恩返し?」

嘉山は呆然とした。

相澤当主は静かにため息をつき、重々しい口調で語り始めた。

「時雨が大学に進学できたのは、俺が学費を援助したからだ。その恩を理由に、無理やりお前と結婚してもらったんだ。

榎本家との婚約破棄のスキャンダルを誤魔化すために……高学歴の嫁を迎えたと見せかけて株価を安定させるために。

もう一つは、彼女の実力を見込んでのことだった。実際、時雨のおかげで会社は持ち直した。

俺は人を見る目はあったが、孫を見る目がなかったようだな」

嘉山はその場で固まり、顔
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