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Home / 恋愛 / 今さら私を愛しているなんてもう遅い / 第38話

第38話

Author: 大落
「わ……私……」

雪乃はあまりの光景に顔を真っ青にさせて、言葉を詰まらせながら言った。「ただ炒めてる時に、ピーナッツを砕いたものを少し入れただけ」

博人は歯ぎしりをした。「理玖はピーナッツが食べられないんだ」

「え?」雪乃は体を震わせ、瞳は一気に真っ赤になった。そして震えた声で「私、そんなの知らなくて」と言った。

そして。

博人はすでに理玖を抱きかかえて家を飛び出し、車に乗ってアクセルを踏み込み病院へと急いだ。

雪乃が家から出てきた時には、すでに遠くにいっていた車の後部が見えるだけだった。

博人はすぐ病院に到着した。

病院のベッドに横たわる理玖は命の危険は脱していたが、両目をきつく閉じ、顔は血の気が引いて長いまつ毛には涙の粒がついていた。

誰が見ても非常に可哀想な姿だった。

「ママ……」

彼は苦しそうに眉をひそめて、夢の中で何を見ているのか、ずっとうなされていた。

博人は非常に心配した様子でベッドの横に座り込んでいた。

この時、入り口から誰かの足音が聞こえてきた。

雪乃が急いで駆けつけ、病室の入り口に立ち、とても後悔しているらしく博人と理玖の父子を見つめた。

「博人、私、本当に理玖君がピーナッツアレルギーだってこと知らなかったの。私……」

彼女は話しながら、声色は嗚咽に変わり、涙を流した。

理玖がちょうど騒がしさで目を覚まし、目を開けると傷ついた雪乃の姿が目に飛び込んできた。

もし以前の彼であれば、すぐにでも雪乃を慰める言葉をかけていたはずだ。

しかし今は……

理玖は顔を博人のほうへ向けた。その声は弱々しく小さかった。

「パパ、僕ママに会いたい」

雪乃はそれを聞いた瞬間その場に立ちすくんだ。瞳の底には恨みと悔しさが潜んでいた。

博人も彼女のほうを見ることなく、自分も心を痛めながら、しっかりと理玖の手を握りしめ、落ち着いた声で言った。

「安心しろ、絶対にママを探し出そうな!」

……

それと同時刻。

未央たち一行はすでに堂本家を後にしていた。

車の中で悠奈がじっとしていられず口を開いた。「兄さん、私と未央さんね、一緒に心療内科の病院を開きたいと思ってるの、兄さんはどう思う?」

悠生はその突然の申し出に意外そうだった。

しかし、すぐに彼はそれに同意した。

「いいじゃないか。白鳥さんの実力なら、もっと多くの人を助
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