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Home / 恋愛 / 会社を辞めてから始まる社長との恋 / 第1431話 番外編七十九

第1431話 番外編七十九

Author: 花崎紬
「約束したことは必ず守る」

剛は何回も深呼吸をして自分を落ち着かせた。

「さあ、やれ!」

「はい!」

二人は応じ、麻袋を担いで川辺に向かって歩き出した。

しかしその時、突風が吹き荒れた。

風は、冷たく唸りながら鋭い刃のように肌を切りつけた。

二人の男は、砂塵で目をやられ、一瞬足が止まった。

「ちくしょう」

一人の男が言った。

「いきなりどこからこんな風が吹いてくるんだ!目に砂が入ってくる」

もう一人の男は急いでゆみを下ろし、自分の目をこすりながら言った。

「いてえ。どうなってんだ、こんな強風」

剛も同様で、砂が目に入り涙が止まらなかった。

やっとのことで目を開けると、目の前に広がる光景に愕然とした。

30分後。

佑樹は、ボディガードを連れ、川辺の監視カメラが捉えた場所に駆けつけた。

目の前の光景を見て、彼は驚きのあまり固まった。

佑樹は急いで麻袋の縄を解くと、気絶しているゆみを抱き上げた。

「ゆみ、しっかりしろ!」

彼は妹の頬を叩いた。

「ゆみ、大丈夫か!」

何度も呼びかけると、ゆみはやっと目を開けた。

「お兄ちゃん……」

目の前の兄を見て、ゆみは掠れた声で呼んだ。

そう言うゆみの声を聞くと、佑樹は目頭が一気に熱くなるのを感じた。

「もう……大丈夫だ」

彼はゆみを強く抱きしめて囁いた。

ゆみは強く抱き締められて苦しく感じながらも、次第に意識を取り戻していった。

「お兄ちゃん、剛が私を誘拐したの。彼はどこ?」

意識を失う前のことを思い出し、佑樹を押しのけて尋ねた。

「死んだ」

佑樹はゆみから離れ、涙をこらえながら答えた。

「お兄ちゃんが殺したの?」

ゆみは驚いて目を大きく見開いた。

「違う」

佑樹は顎である方向を指した。

「俺が着いた時には、もうこうだった」

ゆみはすぐに佑樹の視線を辿って見た。

すると、少し離れた所に、剛が目を見開いたまま倒れていた。

顔はすでに青ざめ、呼吸も止まっているようだった。

「こ、これはどういうことなの?」

ゆみは剛から視線をそらし、佑樹に向かって叫んだ。

「わからない」

佑樹の目は冷たかった。

「でも、そいつがまだ生きていたとしたら、俺があいつを生かしておかなかっただろう」

「いや、ちょっと待って。どうして死んだの?あの様子だと、何かに驚いて死んだ
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