「ここ数日、私はずっと朔也の今の姿を想像していたの」
紀美子の目はだんだん赤くなった。
「ゆみ、お母さんは彼と話がしたいだけなの。怖がらないから、会わせてちょうだい。こんなに長い間、彼がどうやって過ごしてきたのか、どうしてずっと、あんたの側にいながら私とは会おうとしなかったのかが聞きたいの。聞きたいことが山ほどあるわ。早く朔也を出してくれない?」
紀美子は息継ぎもせず一気に答えた。
その声には涙がまじっており、彼女を見つめる朔也も血の涙を流していた。
「わかった」
そう言うと、ゆみはベッドサイドの引き出しを開け、中からお札を取り出して朔也に貼った。
すぐに、朔也の姿が紀美子の前に現れた。
朔也は顔を背けて今すぐにでも隠れたかったが、先ほどゆみに貼られたお札のせいで身動きがとれず、どうしようもなかった。
ただ視線をそらし、緊張を隠した。
ついにその瞬間が来た。
紀美子は、朔也の姿を捉えるとさらに激しく泣き出した。
「朔也……」
「今の俺は醜い。見ないでくれ」
朔也は眉をひそめた。
「醜くなんかないわ」
紀美子はゆっくりと朔也の前に歩み寄った。
「あんたはあんたのまま。何も変わっていないわ。私こそ、もう若くない……」
「そんなことない!」
朔也は紀美子の方を見て言った。
「この間、俺は毎年何度も君を見に来ていた。年はとったかもしれないが、老いてなんかいない!」
「やっと目を合わせてくれたわね」
紀美子は唇を震わせた。
「……」
「あんたたち、ちょっと席を外してもらえる?朔也と二人で話したいから」
紀美子はゆみと紗子を見て言った。
ゆみと紗子は顔を合わせ、部屋を出てドアを閉めた。
「今夜のことは聞いてたわ。あんたがゆみを救ってくれたのね。本当にありがとう」
二人が出て行くと、紀美子は口を開いた。
「礼など要らないさ。ゆみは俺が見守ってきた子で、自分の娘のようなものさ。彼女を守れなくてどうする」
「ところで、あんたはこれからもゆみの傍にいるつもりなの?あんた、亡くなってから今までずっとついていたんでしょ?」
紀美子は朔也を見つめて尋ねた。
「君は、俺がゆみの傍にいるのを望んでいないのか?もしそうなら、止めるよ」
朔也は紀美子をじっと見た。
「そうじゃないわ」
紀美子はすぐに否定した。
「そういう意味じゃ