「なんで?」
輝は不思議そうに言った。「姉さんは撮影が好きじゃなかったか?入江さんは有名な写真家なのに......」
「知っているわ」
凛は誰よりも美雨のことを知っていた。彼女は凛の憧れの存在だった。
「知っているなら、好きなら、行くべきだ」
聖天は凛の手からチケットを取り上げ、何気なく言った。「俺が付き合う」
凛は少し驚き、「でも......」と言いかけた。
「なんだ?」聖天は目を伏せ、淡々と凛を見た。「俺の誘いを断るのか?」
「......」
これは誘いなのか?
脅迫のように聞こえるが?
凛は諦めた。誰がこの男に逆らえるというのだろうか。 ましてや、北都一の権力者に!
「霧島さんも興味があ