「と、とにかく!ボクが言いたかったのは、侯爵が妖精姫に異常なまでに執着しているということなのです。
どうやら、過去に婚約を申し込んで断られているようなのですが……お母さまから聞いたことはございませんか?」
ふむ。父上のノロケで「マーゴットには多くの輩が惚れていた」だの「私の妻はあらゆる男から憧憬の生刺しを向けられていた」だの「熾烈な争いを勝ち抜いたのが私」だのと聞いたことがある。
そういえば「侯爵家の阿呆が権力にものを言わせ『妖精姫は私のものだ』と戯言を抜かしていたのでな。思い知らせてやった」とも言っていたな……もしやそれか?
一応確認してみると、アスナもエリオットも額に手をあて首を振った。
「絶対それだろ……」
「それですね……どう考えても……」
よし、纏めてみよう。
「つまりは、その豚は恐れ多くも母上に懸想し、母上の実家である伯爵家よりも格上であることから無理矢理に母上を娶ろうと画策してそれを自慢げに吹聴したあげく、実質王国最高権力者に等しい父上にあっけなく返り討ちにされた。
それでも未練がましく母上に執着し、図々しくも父上への逆恨みを一方的に募らせていた。
母上は父上が公爵家にガッツリと囲い込み守っているから手が出せない。そこで学園という治外法権の場にいる私で過去の恨みを発散しようとした、というわけか?」
こうして口にしてみると……
「下らん!実に下らん!
要は自分に魅力がなくクソだったから振られただけだろうが!
父上と豚を並べてみろ!誰だって父上を選ぶだろう!
誰があの豚と結婚したい?身分意外は底辺も底辺。容貌はもとより、人格も下劣極まりない男だぞ?」
吐き捨てるように告げれば、エリオットが「あのー……」と手を上げた。
「一応言っておきますが、学生時代の侯爵は……豚ではな