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Home / 青春 / (改訂版)夜勤族の妄想物語 / 3. 「異世界ほのぼの日記」101

3. 「異世界ほのぼの日記」101

Author: 佐行 院
2025-04-06 08:35:20

-101回想から目覚めて-

 林田は目を閉じ不意に思い出した出来事に浸っていた、「あの若者は誰だったのだろうか、そして未だに聞けなかったあの言葉の意味が気になる」と回想していた。

 そんな林田の体を利通が必死にゆすっていた、まるで死にかけの人間を呼び戻しているかのように。

利通「父さん!父さん!!まだ早いって!!カレーのスプーン片手に死にかけてんじゃねぇよ!!」

林田「う・・・、うん・・・。」

 林田はゆっくりと目を開けた、右手には利通が作ったカレーが乗ったスプーンがそのままの姿で握られていた。

利通「父さんどうしたんだよ、スプーン握ったままずっと寝てたんだぞ。」

林田「ああ・・・、夢を見ていた。夢と言っても過去の回想みたいな感じだったのだが。」

 林田はその場にいた一同に見ていた夢について話した。たまに朝風呂を楽しみに行く温泉の事は勿論、そこで出会った「あの若者」の事も。

結愛「その人は神様なんですか?」

林田「神様のイメージからは程遠い見た目でしたね。長い髭をたくわえている訳では無かったですし、見た感じ30代前半でした。」

光「他に分かった事は無いですか?例えばその方のお名前とか。」

 林田はスプーンのカレーを食べた後、再び目を閉じ思い出してみた。

林田「名前はお聞きする事は出来ませんでしたが、普段は夜勤で働いている会社員だと言ってましたね。」

光明「夜勤の会社員なのに世界の想像主?全然想像がつきませんね。」

光「その人は中二病なんですか?」

林田「中二病からはかけ離れた見た目でしたよ、本当にごくごく普通の会社員の方でした。ただ・・・、うん・・・。」

 林田の疑問を残す様な語尾を聞き逃さなかった光、まだ何か引っかかっている事があるのだろうか。

光「ただ・・・、何ですか?」

林田「私達と近い物を感じまして、とにかくビールがお好きだった様な。」

 林田が言うには仕事上がりと風呂上がりが良い意味で重なったが故に思い出の中の男性は美味そうにビールを味わっていたそうな、因みにその時の肴は・・・。

林田「木綿豆腐の冷奴。」

光「へ?」

結愛「冷奴は大抵絹ごし豆腐ですよね。」

利通「好みにもよると思いますよ。俺も木綿に醤油と鰹節、あと生姜かけて冷奴を作る事がありますし。しっかりとした硬さで僕は好きですけどね。」

 光は台所へ駆け込み冷蔵庫に入っていた木綿豆腐等の材料を使って
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