-103 龍の正体と探し人-
クォーツを案内し、光達は街の東側の出入口へと向かった。ニコフが守衛にその美女を紹介するとブラックドラゴンの姿に変化した訳では無いのに守衛たちが震えだしている。
守衛「そ・・・、そのお方があのブラックドラゴンなのですか?」
ニコフ「クォーツさんと言います、適性検査とカードの発行をお願いします。」
女性「クォーツさんですって?!そこのお方、お待ちください!!」
聞き覚えのある声が響き渡る、振り向いてみるとアーク・ビショップのメイスではないか。見た感じは素面なのだが息を切らしながら走って来たらしく、顔が赤くなっている。
メイス「そのお方の適性はこの私が証明致します、カードの即時発行をお願い出来ますでしょうか。」
守衛「アーク・ビショップ様・・・、これはどういう・・・。」
クォーツ「メイスさん、やっと見つけた!!」
メイスより指示を受けた守衛が出入口横の事務局でカードの発行を行っている間にメイスの方から改めてクォーツが紹介された、ただ全員が大きな勘違いをしていたみたいでそれによりメイスがかなり焦っている。
メイス「クォーツ様がブラックドラゴンですって?!何を仰っているのですか、ドラゴンはドラゴンでも古龍(エンシェントドラゴン)ですよ!!」
林田「え・・・、古龍(エンシェントドラゴン)ってあの1000年以上生き、伝説の存在とされているあのドラゴンですか?!」
クォーツ「そんな大げさな、俺は齢たった1872年の若者ですよ。」
謙遜する古龍を横目に古代の歴史書を開くメイス、そこには先程のクォーツと同じ特徴を持ったドラゴンを描いた挿絵が見える。横には長々とした説明書きがあった。
【古龍(エンシェントドラゴン)】-古来より1000年以上生き、他のドラゴンや上級魔獣等の比にならない位の知識と権威を持つ伝説のドラゴン。その代表とされるラルー家は各々が「一柱の神」とも称され崇められている。ただその見た目によりブラックドラゴンと間違われやすいが角の生え方と鱗の硬さ、そして使用できる魔法の多さに大きな違いがありその威厳を人々に見せつけている。存在すら伝説とされているので会える事はこの上ない幸福・・・。
クォーツ「一柱の神だなんてそんな・・・。あ、どうも。」
メイスが丁寧な口調で説明書きを読み終えると全員改めてクォーツの方を見た、目線の先の古龍は守衛か