-68 協力と反抗-
羽田は警備隊に混ざり捜査を続けつつ、黒服に指示を出し魔学校の入学センターの担当者に取り調べを行う事にした。その前に、結愛の指示で当時の入学者リストをコピーし入念にチェックしていった。勿論、梶岡の名前は無い。首席入学者は「リラン・クァーデン」と書かれている。黒服からその事を聞くと羽田はすぐに結愛と林田に無線で伝えた、林田は驚きを隠せない。
林田(無線)「クァーデンですって?!確かにそう書かれていたのですか?!」
結愛(無線)「警部さん、何かご存知なのですか?」
林田(無線)「ええ・・・、悪名高い事で有名でしてね。名誉の為なら何でもしでかすダンラルタ王国の貴族ですよ。少し私に時間を頂けませんか?」
林田は電話を取り出し、ある所に事情を話し始めた。電話の向こうの男性は快諾し、梶岡と話してくれると言った。
男性(電話)「梶岡さんでしたか?私で宜しければ力になりましょう、お話をお聞かせ願えますか?」
梶岡は林田に話した自らの歴史を男性に話した、電話の向こうで男性は涙を流している。
男性(電話)「そうですか・・・、大変でしたね。私にお任せ下さい、魔学校とクァーデン家に問い合わせてみましょう。」
梶岡「あの・・・、貴方は?」
男性(電話)「ダンラルタで八百屋を経営している者でして、知り合いが多いのです。」
林田は笑いを堪えた、有名な某時代劇で聞いた事のある様なフレーズだからだ。
数分後、警察署に来た羽田に梶岡を紹介して一緒に魔学校を調べる様に伝えた。羽田達がその場を離れると林田は男性に電話を掛けなおした。
林田「国王様、宜しいのですか?あんな嘘をついて。」
デカルト(電話)「構いませんよ、国王だと言うと身構えて話し辛くなってしまうでしょう。現にあなたもそうですから。」
林田「はい?」
林田は以前飲み比べをした時にデカルトと連絡先を交換していたのだった。その時、自分達はもう友人なので気兼ねなく話してくれと言われていたのだ。
林田「そうだな、デカルト。すまない、ただ他の人の前だったから許しておくれ。」
デカルト(電話)「ひどい奴だな、忘れたのかと思ったぜ。」
林田「とにかく頼むわ、一大事かも知れん。」
デカルト(電話)「分かった、ただ俺は立場上レース会場を離れる訳にはいかんから軍の者に頼んでみるよ。」
今行われている伝統のレースは3国の国王が主催