-㊺輝く日・前編-
デカルトの唐突な思い付きでの発言によりその日は突然やって来た。
デカルト「そうだ、『善は急げ』と言うからな、明日2人の結婚式を行おう。」
いくら何でも唐突で王族含めギルドにいた全員がざわついた。
林田警部やキェルダが発言の撤回を求めた。
林田「国王様、恐れながら申し上げます。流石にご本人のご意見をお聞きしてからのほうがよろしいのでは?」
キェルダ「叔父さん、確かに嬉しいけどあたいら心の準備がまだだよ。」
しかし、2人の静止を空しくしてしまった者がいた。光だ。電話片手にサムズアップしている、たまたま教会にいたアーク・ビショップのメイスに連絡を入れていたらしい。
メイスによれば丁度次の日、教会もメイス本人も予定が無く空いているので快く了承してくれたようだ。
デカルト「アーク・ビショップ様に祭事を執り行って頂けるだなんてこんなに名誉な事は無い、明日やるぞ。」
光「もうこれで逃げれないよ、2人とも覚悟なさい。」
光はまだ酒が抜けていない、ふらふらになりながら式の予定を決めてしまった。もう1人、デカルトに賛同する者がいた。受付嬢のエルフ、ドーラ。
ドーラ「国王様、披露宴兼2次会はギルドにお任せください。ギルドマスターの許可が下りましたのでお料理を沢山お出しさせて頂きますよ。」
デカルト「ほら決まりだ、エラノダに今言ったから2人とも衣装を合わせに王宮に行くぞ。」
自国の国王まで巻き込む位に話が大事になりすぎていてニコフは動揺を隠しきれていない、一先ず言われるがままに王宮へ向かう事にした。
デカルト「一刻を争う、ニコフ、私の背に乗りなさい。キェルダは後からついて来るんだ。」
ギルドの出入口でデカルトは人間からコッカトリスの姿に戻った、キェルダは普段しまっている翼を背中から取り出しニコフを待っている。
ニコフ「そんな・・・、国王様の背に乗るなど・・・。」
デカルト「私が乗れと言っているんだ、早くしろ。それとも王命に背くつもりか?」
ニコフは少し抵抗しながらもデカルトの背に乗った。大きな翼を広げたコッカトリスは王宮に向けてひとっ飛びし、明日の新郎を瞬時に送り届けた。ただ王宮に着いた時、勢いが良すぎてスピードを緩め切れずエラノダが拘って王宮に取り付けた大きなステンドグラスを大胆に破壊してしまったが。
自らのお小遣いで買った大切なステンドグラスを