-㊸ エリューの大切な業務-
エリューは廊下の途中にある小さな扉から中庭に出てサラマンダーの姿に戻り、眩しく光る先程の場所付近で空へと向かって火を吐いた。
エリュー「古の神よ・・・、どうぞご降臨くださいませ。」
コンビニのナイトマネージャーを担うサラマンダーはそう唱えると人の姿に戻りその場に跪いた。ニコフも好美を連れて中庭に出ると、同じように跪いたので好美も真似した。
女性「うむ、待っておったぞ・・・。」
すると、眩しい光から女性が出て来たではないか。その女性は3人の目の前できょろきょろと辺りを見回している。
女性「おい、いつもの「あれ」はどこだ?まさか忘れた訳ではあるまいな。」
ニコフ「好美さん、急いで「あれ」を!!」
中身をこぼさない様に『アイテムボックス』に入れておいたのだがまずかったのだろうか、そう思いながら光に渡された「お供え物」を出した。
蓋を開けると中には一般的な「2日目のカレー」が入っていた。
女性「これじゃこれじゃ!!これが週に1度の楽しみなのじゃ、あの者のカレーを食べないとわしゃ死ぬでのう!!」
ニコフ「ではクォーツ神様、こちらへ・・・。」
3人がクォーツを厨房へと案内すると、ニコフはお釜やオーブンから炊き立ての白飯とナンを出してカレーライスとナンカレーとして提供した。
クォーツ「幸せじゃ・・・、来週も頼むぞよ・・・。」
カレーを持ってそう言うと、クォーツは月夜に消えて行った。
それから約2時間が経過した2時過ぎ、いつも通り見回りを終えた3人を控室で先程とは違う女性が待ち構えていた。
よく見ると、目に涙を浮かべている。欠伸でもしたのだろうか。
半袖短パンのその女性の姿を見たニコフはまた先程の様にカレーを提供した。
ニコフ「ペプリ王女様、大変お待たせいたしました。」
ペプリ「ニコフさん、クォーツ姉ちゃんは?」
ニコフ「いつも通り、お元気そうになさっておられました。」
ペプリ「久々に会いたかったのに、もう消えちゃったの?」
ニコフ「はい・・・、大変申し訳ございません。しかし、流石に一柱の神を引き止めるのは私には重荷でございます。」
ペプリ「分かった・・・。」
2時間前の眩しい光で目が覚めたのか、少々不機嫌そうにしていた王女らしきその女性は右手を高らかに揚げた。
その右手から、王女が空に向かって光を放つと通用口の外からドアをノ