-㊹ 国王の好物の夜勤明けの客人-
エラノダはカレーを拭き取ったじゃが芋を潰すと、小麦粉とパン粉を付けて知らぬ間に用意していた油でゆっくりと揚げた。そう、カレーコロッケの完成だ。国王はそれを肴に1人瓶ビールを呑み始めた。
さり気なく揚げ油を処理して、鍋を片付けたニコフは付き合いきれないと言わんばかりの呆れ顔を見せた。
ニコフ「王様、御片付けと明かりだけはお願いしますよ。」
そう言うと3人はその場を去って行った、国王なのに扱いが雑な気がしたが疲れが出て来たので好美はスルーする事にした。
控室に戻ると好美はデルアに貰ったお弁当を取り出した。
好美「何が入っているのかな・・・。」
ワクワクしながら蓋を開けると中には「暴徒の鱗」の美味しい料理と白飯がズラリと。
空腹に身を任せて勢いよく食べ終わると、次の見回りに向けてお茶を飲みながら一休みした。
数時間後、最後の見回りを終えて控室で過ごして終業時間の7:00。
ロッカールームで今では完全なる私服と化してしまった方のつなぎに着替えて通用口から中庭に出た。
好美「お疲れ様でした。」
ニコフ「好美さんもお疲れ様でした、これからもよろしくお願いします。」
朝の雰囲気を楽しむかと王宮から自ら所有するビルまで歩くと、コンビニに商品である弁当を納品するトラックが1台。
昨日より量が多いので好美はドライバーに事情を聞いた。
ドライバー「昨日の閉店間際に一気に買い込んだ人がいたみたいだよ。」
その言葉を聞いた好美はイェットに聞いてみる事にした。
好美「ただいま、昨日の晩に弁当を全て買い込んだ人がいたんだって?」
イェット「好美ちゃんおかえり、聞いたんだね、それがとんでもなく大物らしいんだよ。」
すぐさま監視カメラの映像を確認すると1人の女性が残った弁当を全て買い込んでいたのが映っていた、映像の確認を終えると映っていた女性が入り口前に立っている。
好美は女性に事情を聞くことにした。
好美「あの・・・、どうされました?」
女性「あの私・・・、王宮横の教会で孤児院をやっているメイスと申します。実は、いつも食事を用意する担当の者が怪我で入院する事になりまして。他に料理が出来る者はいても子供達の舌に合う物を作れる者がおらず、我々の食事の用意も兼ねてこちらのお弁当を頼りにさせて頂く事にしたんです。」
そうしたものかと考えてい