ファイラス城に向かうのは勿論、いつもの隠し通路から女神の神殿まで移動するためだ。
と、その時突風とともに真横に凄い勢いで何かが通り過ぎる!
それはファイラス城の城壁に轟音を立て突き刺さる!
よく見るとそれは樹齢百年は超えている大木そのものであった!……更にはパラパラと音をたて、崩れる城の城壁……。
「き、きゃあ――――――?」
そして、城内からは女中のけたたましい金切り声が多数上がっている……。
「ひええええっ?」
思わず俺達もそのアクシデントに慌てまくる。
(こ、これはま、まさか?)
嫌な予感を確かめるべく俺は恐る恐る後方を振り返る。
「に、が、さ、ん!」
すると巨大化した魔王スカードが2本目の大木をこちらに向い、まるでやり投げの槍の様に投擲しようと振りかぶっている姿が見えたのだった!
「ま、学っ! 急げっ!」
「ひ、ひえええっ⁈」学は蛇行飛行をし、スカードに的を絞らないようにさせながら城内を目指していく。
その間にも2本目の大木が軽々と投擲され、またもや俺達の真横を通りすぎ轟音をたて城内に突き刺さる!
と同時にまたもやガラスの割れる鈍い音、女中の甲高い悲鳴が聞こえて来る。
最早城内は地獄絵図だ……。
不幸中の幸いで、俺達はその割れたガラス窓から、神殿に向かうための隠し通路に急いで向かえた。
……3本目の投擲の様子が無い所を見ると、ガウス達が上手く囮になってくれているのだろう……。
(ごめんな皆、しばらく耐えてくれよ……?)
それからしばらくして、俺達はなんとか女神の神殿にたどり着く事が出来た。
進んでいくと周囲がうっすらと光輝くうす透明な紫色の水晶で出来ている部屋にたどり着く。