author-banner
菅原みやび
菅原みやび
Author

Novel-novel oleh 菅原みやび

元怪盗令嬢【レッドニードル】レイシャは世界を変革す

元怪盗令嬢【レッドニードル】レイシャは世界を変革す

美貌のエルフであるレイシャ。 彼女はエターナルアザーという組織に追われていた。それはバンパイヤの長がトップに君臨する世界的に有名な異形の集団。彼女はその組織の元№2。 【レッドニードル】の異名で世を震撼させた怪盗令嬢であった。 レイシャは組織から逃げ続け、百年が経つ。 そんなある日、漂流し北の孤島ブリガンにたどり着く。 レイシャはそこで花屋『エターナル』を開業し、小さな客人や小動物達と理想のスローライフを楽しんでいた。 が、秘密裏に副業で行っていた魔石商がとある王族の目にとまり、その依頼を受けることになってしまって⁉ 元怪盗令嬢レイシャを巡る、ドタバタ物語が今ここに華麗に幕を上げる!
Baca
Chapter: 第48話 使えた魔法
『……すまないが話す時間がもう無い。リッチー=アガンドラの詠唱がもうすぐ終わってしまう』 『分った、開幕全開でいくわ……』 私の故郷の両親や、このペンダントやレッドニードルの事など聞きたい事は山ほどある。(今考えるのは、目の前のにっくき敵であるリッチー=アガンドラをこの手で倒す事っ!)   ただの因縁だけじゃない、リッチー=アガンドラを倒さないといけない理由が私には沢山出来てしまったしね。「私の血を吸いなさい! レッドニードル!」 私の言葉に反応し、胸元のペンダントは眩い真紅の輝きを放つ! 手に持っていたレッドニードルの柄の部分からは、まるでバラのツタのようなものが発生しそれらは蠢きながら私の腕に巻き付いていく!「……っ!」 この痛みには、正直慣れそうもない。 それらは私の腕に巻き付き、徐々に血を吸っていく。 その間もリッチー=アガンドラの様子を見てるが、淡々と詠唱を続けている様子……。 一方、レッドニードルの血を吸う行動が先に終わりのがいつもの自身の感覚で分かる。 よし! 条件は成った! 私はリッチー=アガンドラを睨み、叫ぶ!「真紅の炎よ! 私の敵を全て焼き尽くせ!」 私の声に応え、レッドニードルの刀身から放たれしは複数の紅蓮の炎! それはまるで真紅の大蛇の如く牙を向き、リッチー=アガンドラに襲い掛かる!「我が声に応えし凍てつく氷剣らよ! 我が牙となり我が敵を切り刻め!」 が、ほぼ同時にリッチー=アガンドラの魔法も発動し、その命に応じ奴の周囲に巨大な無数の氷剣が浮かび上がり、それらは私めがけて襲い掛かって来る!(……っ! タイミングが悪かったわね。しかも、なんなの? この寒々とした重苦しい氷の剣はっ!)『レイシャっ! リッチー=アガンドラの十八番「絶対零度の剣」だ! 気をつけろ!』 「分かったけど、もうなるようにしかならないわ!」 結果としては、私の操る「紅蓮の炎牙」とリッチー=アガンドラの氷魔法「絶対零度の
Terakhir Diperbarui: 2025-06-25
Chapter: 第47話 さらわれし理由
 正直リッチはバンパイヤ同様、不死身と聞くし、生半可な攻撃は意味をなさないであろう。 しかも今はブラッド青年の体を乗っ取っている状態。 ブラッド青年の体を傷つけずに追っ払う方法なんて魔法に疎い私には思いつかないのだ。「ふ、ではいくぞ!」 リッチー=アガンドラは私から距離を取り離れ、自慢の高速詠唱を始める。 が、ここまでは私の予想通り。 というのもこちらには何も攻撃が無いこの時間を有効活用するしかないのだ。『長っ! で、どうするの?』 てなわけで小声で長と会話し、手っ取り早く知恵を借りることにした。 餅は餅屋、魔導は魔導に詳しい相手を、不死者には不死者をってことです、はい……。『まずは情報を教えよう。リッチー=アガンドラは常に魔法防御の壁を張っていてな。多少の攻撃じゃイハールの体には傷1つつかない』『なるほど、早い話、まずは「魔法防御に回している魔力を削れ」と』『そうだ。そして来たるべき段階が来たら、レイシャの体を一時的に私が借り、リッチー=アガンドラの魂をイハールの体から追い出す』(なるほど、段階事に私と長で分業をし、リッチー=アガンドラを倒すという事ね……) 『分ったわ……。で、どうやって?』『攻撃は最大の防御だ。開幕からレイシャの出来る全開をだせ!』『承知っ!』 私は1人静かに頷く。『すまんなレイシャ、お前達を巻き込んでしまって……』『え? あ、まあ私も№2としてのケジメがあるしね。そんなことより、今はこいつを倒すことに集中して頂戴……』『すまんな、でこのタイミングで申し訳ないのだが実はずっと話そびれていたことがあってな』『え? 今そんな話している場合じゃないでしょ? 戦闘中よ長っ?』『この戦闘に関係する話なのだよ……』『そう、手早くね&hellip
Terakhir Diperbarui: 2025-06-24
Chapter: 第46話 とんだ寄生虫
 月明かりが照らす洒落た小部屋、私はその中央にいる者に目を向ける。 それは作業椅子に脚を組み静かに座すブラッド青年をであった。「ほう? お前1人か? ふふははは! なにはともあれ久しぶりだなレイシャ……」 声とその姿は確かにブラッド青年そのもの……。 だが、高慢な態度と話し方で私には明らかに別人だと理解出来た。(なるほど、牢の中にいたあの老人の姿。何処かで見たことあると思ったらそんなカラクリだったってわけね……) 「そうね百年ぶりかしら? 見ない間に随分と若返ったものね? リッチー=アガンドラ……」 私は皮肉たっぷりの言葉をブラッド青年の姿をしたリッチー=アガンドラに向けて放つ。「ふ、相変わらず小癪な奴だ。そんなちんけな精神攻撃なぞ我には効かんぞ?」「でしょうね。他人の肉体を平気で乗っ取れる寄生虫ですし、人ですらないものね?」 そう、これは老人の姿、いやリッチー=アガンドラとすり替わったブラッド青年がメモにより教えてくれた情報……。 恐ろしい事に、何らかの方法でブラッド青年の肉体を乗っ取り、自身の肉体にブラッド青年の魂とすり替えてしまったらしいのだ。 最も魔導に詳しいクロウだけは最初から察していたらしいけどね……。「世の中結果が全て……。ふふ、長が長年かけて研究していた人化の方法、それを少し我が改良し使わせてもらっただけだ……」 リランダの地下倉庫にあった本棚には色んな人に対する研究書があった。 だからブラッド青年の経営するリランダの地下倉庫に繋がっていた旧王家の牢屋に隠れ家をつくったと。 流石リッチー=アガンドラ。 リッチだけあって相変わらず腐った根性丸出しである。「なるほど、リランダの地下倉庫にあった書物を貴方が読んでたってわけね…&helli
Terakhir Diperbarui: 2025-06-23
Chapter: 第45話 似た者同士
 私達は月明かりがうっすらと照らす回廊を無言で走っていた。 理由は余計な事は考えたくなかったから……。 周囲を注意深く見回しながら進んではいるが、幸い私達に向かって襲ってくる刺客はもういないみたいだ。 おそらくは竜人ドラグネオンが最後にして最強の防衛線ということだろう。 それもそのはず、竜人ドラグネオンはエターナルアザー内では長を除いた最強の剣の使い手なのだから。(長が言葉を発しないのは、きっと竜人ドラグネオンに申し訳ない気持ちがあるからだろうけどね……)  だからか、あっという間に目的地のブラッド青年の個室前に辿り着く。(よし、あとは……)「……相手はあの竜人ドラグネオン、雷神剣の使い手ですが小次狼さんは大丈夫ですかね?」 不安になっているからだろうか? クロウは沈黙を破るようにボソリと呟く。 クロウが心配するのも無理もない。 雷竜の化身でもある竜人ドラグネオンは雷をまるで自分の手足のように自由自在に使いこなし、それを自身の剣に纏わせる事が出来る。 自慢じゃないが私も剣の腕だけなら彼に勝てる自信は全くないしね。「そうね。でも、小次狼さんも負けず劣らずの猛者……、その理由はね」 「え……ええっ!」 私の話を聞き、その内容に驚いたクロウの大声が深夜の回廊に静かに響き渡るのだ……。   ♢   一方こちらは小次狼と竜人ドラグネオン。「ほう、お主も雷竜じゃったか……」 「なにっ? 小次狼といったか、お、お主のその眼ま、まさか……?」「そう、儂と貴殿はおそらく遠い親戚……。儂の血にも竜人の血が少しばかり流れておるでの……」 小次狼は
Terakhir Diperbarui: 2025-06-22
Chapter: 第44話 隠れた実力者
 体つきの良い巨躯……。 その肩や胸などの主要部分に黄金色の軽鎧が身に付けられている。「竜の頭に人の体、しかも鱗の色も黄金色とな? となると、もしやそなた竜人か?」「いかにも貴殿の言う通り! それはさておき、久しいなレイシャ。それにクロウもか……」「あ、貴方はエターナルアザー№6のサンダー=ドラグネオン! な、何故貴方がこんなところに?」 ドラグネオンとは昔の顔なじみなので、なんとなく理由は分っていた。「私は長に組織に忠誠を誓った身! 即ち現在の体制を推すリッチー=アガンドラ殿に賛同し、私は此処にいるということだ……」 ドラグネオンは腰に下げていた一振りのバスターソードを静かに抜き、それを自身の胸元に構える。「違いますっ! 長は心を入れ替え、異能の力を私欲に使わない新体制を推していました!」「そうね、クロウの言う通りよ! 旧体制のリッチー=アガンドラの考え方に賛同するのは筋違いだわ……」「……ふ、ふははは! 笑止っ! その長はもう組織には長い間姿を見せておらぬっ! しかもそのせいでエターナルアザーは大きく2つに分かれてしまった……」 竜人ドラグネオンは乾いた笑いと共に、その鋭き竜眼で私とクロウを睨みつける!「じゃあ貴方も私達と一緒に異能の力を正しい方向に使えばいいじゃないですか!」 クロウは負けじと、ドラグネオンを正面から見据え凛とした言葉で言い返す。(クロウえらい! そして、本当に成長したよね……。育てた身として私は心底嬉しいよ)「ふ、ふふふ……」 身を静かに震わせドラグネオンは静かに言葉を紡ぎ出す。「ではクロウ、そなたに問うが、正しい方向とは何だ?」「え? それは、犯罪を犯さない人の役に立つ力の使い方のことです!」「ふ、笑止千万……。人が我らに対ししてきたことをお前達はもう忘れたのか?」「……あ」「クロウ、そなたの親はそなたが使い物にならないから売り物にしようとしていたではないか!」「そ、それは……」 痛い所を突かれ、クロウはうつむき押し黙ってしまう……。(こればかりは悲しい事実だし、クロウも言い返せないよね……) 正直私も捨てられたと言われる身であり、クロウが言い返せないのが分かってしまいすっごく辛い……。「わ、私の親だっていきなり私を売り物にしようとしたわけじゃないですっ!」 ……珍しく険しい目つきにな
Terakhir Diperbarui: 2025-06-21
Chapter: 第43話 闇夜を進め
「まあでも、私はこれからはサポートしか出来ない役立たずになります……。申し訳ない」 クロウは懐からマジックポーションを取り出し、渋い顔をしながらそれをゆっくりと飲んでいく。 あの高威力の魔法を使ったのだ、「回復アイテムを使ったとしても魔力の全回復は無理です」とクロウは言いたいのだろう。 文字通り、切り札のエンチャントアイテムも全消費しちゃったしね。「そこはまあ、全然気にしなくて大丈夫よ!」「そうじゃ!」「あ、ありがとうございます! うう、でも折角作って貰った希少なマジックリング達が一発でパアに……」 そう、クロウが嘆くのは無理もない。 実はあのマジックリングは私達の報酬から作り出した力作中の力作なのだ。『まあ、また私達で作ってあげるさ。なあ? レイシャ?』「そ、そうね……」(別に作るのは苦にならないんだけど。あれ、結構いい魔石使っているのよね。でもまあクロウも頑張った結果だし仕方ないよね……)「ところで、クロウ嬢ちゃん。あのどぎつい魔法は一体何なんじゃ?」「あ、えーと、あれは召喚魔法の一種になります! 端的に説明しますと、呼び寄せた異界の黒き闇に攻撃対象を丸ごと連れて行ってもらう強制送還魔法です!」「ほ! それは中々えげつない魔法じゃの……」 そうなのだ、普段とても優しい彼女も本気を出したら恐ろしいのである……。 ということで、無事庭の番人達を倒せた私達は警戒しながら玄関のドアに手をかける。「あれ? 鍵がかかっていない?」 肩すかしなことにすんなりと屋敷内に入れた私達は、うっすらと輝く月光を頼りに屋敷の回廊を慎重に歩いて行く。 鍵がかかっていなかったのはおそらく今いる屋敷の主から「これるものなら来てみろ」というメッセージだと私は受け取っている。「……何奴? おいっ、
Terakhir Diperbarui: 2025-06-20
月神守は転生の輪舞を三度舞う

月神守は転生の輪舞を三度舞う

ある日【月神 守】は大学の親友達と車ごとガケから転落してしまう。 守はアデレという異世界の魔族の王に転生し生まれ変わっていた。 しかも、親友の学は魔王の長男⁈  そんなこんなで、守と学はザイアードという魔族の国の2人の王として君臨する。 他の親友達、【雫(しずく)はファイラスの王女】に、【スイはエルシードの王女】としてそれぞれ君臨する。 色々情報収集し、各国の国宝を巡って大戦が勃発しようとしている事が分る。 また、【 Fプロジェクト】が絡んでる事が判明していく。 そんな主人公達が異世界の戦乱を共闘、あるいは敵対し生き抜いていく異世界戦記物語! ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
Baca
Chapter: 65.俺の夢?
 そんなこんなで楽しいひと時はあっという間に終わり、深夜自室にて俺はベッド横たわり窓から闇夜に見える綺麗な満月を眺めながら物思いに耽る……。(いよいよ明日から異世界ルマニアに行くわけだけど、なんだか寂しくなるな……。それに学や雫さんとの関係は上手くやれるんだろうか……?)「失礼します……」 その時、静かにドアをノックする声が聞こえて来る。「……この声ガウスか。……どうぞ」「失礼します。少しお話をしたいので会議室によろしいですか……?」「……そうだね。俺達がいなくなったこととかも話しときたいしね」 という事で俺はガウスと共に話しながら会議室に移動していく。 「……色々心配されているようですが、まあ後は私達に任せてください……」「そうだね……申し訳ないけど俺達に出来る事はそれしかないからね」 俺は苦笑しながらガウスに答えるし、ほんそれである。「まあガウス達には色々と世話になったし、ホント感謝しきれないよ」「はは、まあそれが自分達の仕事ですしね。当然の事をしたまでですよ……」 ガウスは謙遜しているのだろうが、その当たり前のことが当たり前に出来ない人が本当に多いのだ……。 なので、俺は本当にガウスやギール達には感謝している。「ということで自分の話はこれで終わりです」「え? じゃ会議室に行く意味ないじゃん」「まあ、そこは守様に用事がある人達がいるからですね……」 ガウスは片目を閉じ、俺に対しウィンクして見せる。(ああ、他の重臣やゴリさん達もか……。まあ、最後になるかも
Terakhir Diperbarui: 2025-04-13
Chapter: 64.宴
 ……数時間後、此処はファイラス城内の会議室。 そんなこんなでファイラス城内に戻った俺達は事の顛末をガウスなどの重臣達を呼び簡潔に説明した。「なるほど、そうだったのですか。なんにせよ魔王スカードの件お疲れ様でした……」「はは、あガウス達のバックアップがあったお陰でだからね……?」 俺はガウス達重臣一同が椅子から起立して深々と頭を下げるのを制して、苦笑する。「……それにしてもにわかには信じられないですが守様達は異世界からの転生者だったとは……」「うん、そうなんだ」「では、貴方達の変わりに本来此処にいるべきレッツ第1王子とゴウ王子達はどちらに?」 「親父の話だと、どうやらルマニアに転移しているらしい」 ザイアードのそもそもの魔王達も当然ルマニアに転生しているらしいし、エルシードのエルフの女王についても然りだ。 これはこの異世界アデレとルマニアが対になっている関係らしいけど、親父達も詳細は分っていないらしい。 なので俺がルマニアからこちらの世界に戻ってきたとしても「ガウス達との繋がりがどうなってしまうかな?」と俺は危惧していたりもする。「……ま、なんにせよ1つの大戦は無事終結し、貴方達の頑張りのお陰でこの世界に平和が訪れた事実があります。という事で明日早速凱旋バレードをしましょう!」「お、いいねえ!」「うん! 国の勝利を伝える大事な行事よね!」「のじゃっ!」 ガウスの言葉に両手を空高く上げガッツポーズを取り、すっかりテンションアゲアゲの俺達。 ……という事で翌日の朝。 俺と雫さんは雫さんの愛馬シルバーウィングに跨りファイラス城外の凱旋門で静かに待機する。 そして雲一つない澄んだ青空の中、その上空にはエンシェントフレイムに変化した双竜、即ち学とノジャが優雅に大空を舞っている。 更に
Terakhir Diperbarui: 2025-04-12
Chapter: 63.計画の本当の目的
 ……オヤジのしばらくの沈黙後に女神様がとんでもない回答を述べる。 「……え?」「俺も後で知ったんだが、アデレと対となる双子の星、『ルマニア』に転生しているらしい」「アデレとルマニアは双子の星にして1つの世界。そしてそこにいるスカードとサイファーはそのルマニアの住人なのですよ」「え、ええっ!」 女神様の話の内容に驚くしかない俺達だった。「うーんそうなると、スカードがこちらの世界に来たのも多分偶然じゃないかもね……」「ええっ! 雫さんがそんな事言うとなんか妙に説得力があるんだよね」(となるとスカード達は双極の星からの使者ってことかあ……) 「あの博士、少し訪ねたい事があるんですが?」「ん、なんだい雫さんとやら」「何故、私達にこの世界でこんな経験を積ませたんです?」「理由は大きく2つある。1つは母さんを探すのに純粋に力と仲間が必要だった」(なるほど、結果的にはなるが魔王スカードと出会えたのも必然だったのかもね)  俺はもう1つの星の住人である魔王スカードとサイファーを見つめ、納得せざるを得なかった。(だってさ魔王スカードみたいな強者がルマニアにはまだいるってことだろ? そうなると、女神様が俺と魔王スカードを戦わせたのは納得なんだよな)「で、親父。もう1つの理由は?」「多分、異世界転生計画の真の目的じゃないかしら? 私は組織から月面移住計画と並行して進められた新しい地球の代替えとなる新天地が目的って聞いていたけど……?」 「へ?」 俺達はスイさんの難しい言葉に目を細め唖然とする。「月面移住計画って、私の両親も確か関わっているって聞いたけど。確か月を探索して資源や新しい土地を求める計画よね?」「ああ、そうだ。月じゃなくて地球に類似した異世界を探す方が早いからな」「ぶっ飛んだ計画ではあるけど、理には適ってる
Terakhir Diperbarui: 2025-04-11
Chapter: 62.対なる世界
「……えっと? あのそうじゃなくて俺の両親は?」 俺は訳が分からず女神様の目を見つめる。「ああっ! なによ! 『古代図書装置ユグドラ』が転生した月神博士だったの? もう、ずっと私の目の前にあったものがそうだったなんて……!」「ってええ? ス、スイさん?」「て、こ、この植物が月神博士?」 俺達は色々と驚きながら、いつの間にかまじかに姿を現したスイさんを見つめる。「あ、そっか! スカードが全生物を生き返らせたから……」「そ! 私魔法使いだから瞬間移動の魔法も使えるしね!」「スイあんた……」「ご、ごめんなさいっ! 私も立場上色々あって仕方なくやってたの! でも、もう色々と諦めたから本当に許して! お願いっ!」 スイさんは俺達の目の前で深々とひれ伏し土下座して謝っている。「なあ、スカードどうする?」「俺はもうこやつを一度断罪したので、正直どうでもいい。だが、お前はFプロジェクトの事を知っておく必要があるだろうし、こいつと仲良くやった方が俺はお前の為になるとおもうのだががな……」(そっか、そうだよな。流石スカード、戦っていないときは非常に頼もしいし、キレのある回答をしてくるな) なんか位置付き的に神様みたいだしね。「うんまあ、完全には信じられないけど本当に罪悪感を感じているなら色々教えてくれると嬉しいかな……」 その、正直俺の初恋の人でもあるしね……。 俺は少しだけ顔を赤らめながら、ぼそりとつぶやく。「んんっ……そうよね。じゃお詫びに私の知っている事を全て話すね」「まあ、貴方の嘘を看破するスカードもいるしね?」 雫さんは少しの皮肉を込め、苦笑いしてますが? 中々辛辣である。「ば、ばかっ! そ、そんなんじゃないって!」「ふむ、半分
Terakhir Diperbarui: 2025-04-10
Chapter: 61.暴走を止めろ!
  ファイラス城に向かうのは勿論、いつもの隠し通路から女神の神殿まで移動するためだ。 と、その時突風とともに真横に凄い勢いで何かが通り過ぎる! それはファイラス城の城壁に轟音を立て突き刺さる!  よく見るとそれは樹齢百年は超えている大木そのものであった! ……更にはパラパラと音をたて、崩れる城の城壁……。「き、きゃあ――――――?」 そして、城内からは女中のけたたましい金切り声が多数上がっている……。「ひええええっ?」 思わず俺達もそのアクシデントに慌てまくる。(こ、これはま、まさか?)  嫌な予感を確かめるべく俺は恐る恐る後方を振り返る。「に、が、さ、ん!」 すると巨大化した魔王スカードが2本目の大木をこちらに向い、まるでやり投げの槍の様に投擲しようと振りかぶっている姿が見えたのだった!「ま、学っ! 急げっ!」「ひ、ひえええっ⁈」 学は蛇行飛行をし、スカードに的を絞らないようにさせながら城内を目指していく。 その間にも2本目の大木が軽々と投擲され、またもや俺達の真横を通りすぎ轟音をたて城内に突き刺さる! と同時にまたもやガラスの割れる鈍い音、女中の甲高い悲鳴が聞こえて来る。 最早城内は地獄絵図だ……。 不幸中の幸いで、俺達はその割れたガラス窓から、神殿に向かうための隠し通路に急いで向かえた。 ……3本目の投擲の様子が無い所を見ると、ガウス達が上手く囮になってくれているのだろう……。(ごめんな皆、しばらく耐えてくれよ……?)  それからしばらくして、俺達はなんとか女神の神殿にたどり着く事が出来た。 進んでいくと周囲がうっすらと光輝くうす透明な紫色の水晶で出来ている部屋にたどり着く。
Terakhir Diperbarui: 2025-04-09
Chapter: 60.破壊神
(本当は、俺よりも剣術が優れている雫さんがこれを使う予定だったけどね)  だから、俺に雫さんはあの時この黄昏の剣を託したのだ。 よく見るとサイファーも元の姿に戻りスカード同様地面にうずくまっていた。(おそらくアーマーアームドの耐久が限界値を超えたんだろうな……)  それを見たガウスは俺の右手を握り、掲げ勝どきを上げる!「聞け! ファイラスの全兵そして国民よ! ザイアードの大将魔王スカードをファイラス国王守様が打ち取ったぞー!」「うおおおおっ! やったぞ皆っ! 俺達の勝利だっ!」「ファイラス軍万歳っ!」 遥か後方に下がっていた全兵が歓喜の大声を上げながら、次第にこちらに近づいてくる!(よし、もういいだろう)「……アームド解っ!」 俺は学のアームドを解除し、その場にへたり込む。  学も同様にへたり込んでいた。「守、学っ!」 気が付くと雫さんも俺達の元へ駆け寄ってきた!(この感じ、終わったのか……?) 俺は隣で親指を立て、爽やかな笑顔でこちらを見つめている学を見ながら激しい戦闘に終止符が打たれた事を実感したのだ。「ッ⁈」 何故か急に寒気と、胸騒ぎがする……⁉ 俺は反射的にスカードが倒れていた場所に目を移す。 何とスカードは驚いた事にその場に立ち上がり、仁王立ちしているではないか!「ば、馬鹿なっ! お前は守様によって心臓を貫かれたはずだぞっ!」 ガウスは剣を再び抜き、その切っ先をスカードに向け威嚇する。 俺達も急いで立ち上がり、警戒態勢をとるが……?「……なんかスカードの奴、ぼーっとしているし様子が変じゃないか?」「う、うん……。目がなんか真っ赤に変わっているし…&hellip
Terakhir Diperbarui: 2025-04-08
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status