月神守は転生の輪舞を三度舞う

月神守は転生の輪舞を三度舞う

last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-13
Oleh:  菅原みやびTamat
Bahasa: Japanese
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ある日【月神 守】は大学の親友達と車ごとガケから転落してしまう。 守はアデレという異世界の魔族の王に転生し生まれ変わっていた。 しかも、親友の学は魔王の長男⁈  そんなこんなで、守と学はザイアードという魔族の国の2人の王として君臨する。 他の親友達、【雫(しずく)はファイラスの王女】に、【スイはエルシードの王女】としてそれぞれ君臨する。 色々情報収集し、各国の国宝を巡って大戦が勃発しようとしている事が分る。 また、【 Fプロジェクト】が絡んでる事が判明していく。 そんな主人公達が異世界の戦乱を共闘、あるいは敵対し生き抜いていく異世界戦記物語! ※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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1.深夜のカーデートはスリリング
 闇夜に走るは1台の漆黒のスポーツカー。 そう、俺【月神 守(つきがみ まもる)】は大学の親友達と車で深夜の山中をドライブの真っ最中なんだよねー! 俺の隣の助手席に座っている女性が「わあ、夜風がひんやりとして、とても気持ちいいですね……」と、呟きこちらを見つめる。 彼女の名前は【風見 スイ(かざみ すい)】さん。 気になった俺は隣をそっとチラ見する。 するとスイさんは夜風に静かになびくセミロングの銀色の髪に手をそっと当て、サファイアのように澄んだ青い瞳でこちらを見つめ返し、ほがらかに笑っていた。 童顔を感じさせる二重の大きな瞳。それを強調させる細長い眉。彼女の小柄な体形と血色の良いもち肌。そしてふっくらとした丸みを帯びた顔と胸に俺は小動物的な癒しを感じてしまう。(それに、紺色のギャザーワンピがまた超似合っているんだよなあ)  俺はそんなことを考えつつも、「ですよねー!」と力強く返事し、ウンウンと頷き自身を納得させていた。 あ、で、話はドライブに戻るんだけど、実はこのドライブには目的があるんだ! 結論から言うと、なんと「スイさんへの告白をかねて」のドライブデート中なんだよね。 情けない話だけど、親友にお膳立てしてもらって現在に至るわけなんだけど。(いやー、ホント持つべきものは良い友……) 「風も気持ちいいけど、俺ともっと気持ちいいことしませんか? なーんつって!」 「……」 後部座席から訳の分からない言葉が聞こえ、その後静かなエンジン音が車内に響き渡るのが分る。(こ、こいつっ! まじかっ⁈ この空気、い、色々と、台無しだ)  だからか、俺の額にじんわりと変な汗が滲み出てくるのが分る。 えっとですね、今後部座席から訳の分からない人語を発した奴。 コイツが色々お膳立てしてくれた悪友の【星流 学(ほしながれ まなぶ)】。 学は御覧の通りパーソナルスペースというものは一切ないおバカ。なので、剛速球な会話を得意とし、両手を広げ土足で人の心の領域に踏み込んでくる。 体の線は細いが馬鹿力。かつ武道の実力は相当なもので空手の師範代持ちだったりするんだよね。(他人を思いやる優しい一面もあるんだけど……)  俺は深いため息をつき、カーミラー越しにそっと後部座席に座っている学を覗き見る。(こうやって改めて見ると、性格に反して顔と雰囲気は整った
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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2.魔王転生ってマジ?
「……なあ、お前なんて言うの?」 「うっ、学。ぐすっ」「お前、女みたいな容姿してるし、めそめそしてるからいじめられてるんじゃねーか」 「うっ、うっ……」 これは幼少時の俺達の記憶……? 俺はその昔の視覚情報を冷静に整理していく。(俺の隣のブランコに座っているのは小さい時の学だなこりゃ。だってちっこいし、赤い半袖Tシャツに半パンとおこちゃま仕様だしな)  この当時の学は見た目が本当に女性みたいに華奢で、喧嘩が弱く、毎日めそめそ泣いていたっけ。 対して俺は孤児院の中でも当時はガタイが良くて、要領も良かったからイジメにあうことはなかった。 というのも暗記は得意だったので動画とか見て、空手の技も学んで強くなっていたからだ。「なあ、お前。良かったら俺が喧嘩の仕方教えてやるよ?」 俺はブランコを静かに立ちこぎしながら、隣の学を見つめる。「えっ? 守君が、その……俺を守ってくれれば……」 もしもじしている学に、俺は心底呆れた。「あのな……? 例え俺がお前を守ったとする。でもさ、俺がいないところだとお前はもっといじめられるだろ? それじゃ何の解決にもならない。だからさ、その名の通り俺から喧嘩の技を学べっていってんの!」 「あ……。そっか、そうだね! へへ、守君は本当は優しいんだね……」 学のまるで女の子の様な泣き顔に少しドキリとし、俺は少し顔を赤らめてしまう。「ば、ばーか、そんなんじゃねーよ……」 こうして学は俺から喧嘩の技を教わり、次第に強くなっていく。(名前の通り学習能力が高く、色んな技を一瞬で覚えていく様に俺は旋律を覚えたんだっけ) 「よーし、今日はこれまで! 空手の型をちゃんと覚えておけよ。型を覚えて置けば、一人でも練習はできるし対人のイメージトレーニングも出来るからな!」 「うん、ありがとう守君!」 そうそう、当時学は素直な可愛らしい子だったんだよな。 それから学はどんどん強くなっていき、結果、孤児院でいじめられることはなくなった。 というか、孤児院での喧嘩は負け知らずになっていた。 そして月日が流れ、おれらが高校生の時くらいかな? 寒い雪が降る日に孤児院が謎の火事に合い、俺達はバラバラに引き取られることになってしまったんだっけ。 ま、いわゆる別れの時ってやつだな。「守、またな」 「ああ」 俺と学はお互いの拳を軽く
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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3.斥候と現状と
 それから数時間後、ここは俺の魔王部屋だ。「ま、学うー……。良かったなー無事で」 「ははっ……。お前こそ……な」 真っ赤なソファーに仲良く腰掛け、俺達はしばらく再会の会話を楽しんでいた。 この会話で分かったことだが、この世界では不思議なことにどの種族間でも言語が統一されているらしい。 早い話、ドラゴンでも、魔族でも、人でもある程度知恵があるものなら会話が可能のご様子。 うんまあ、異世界転生あるあるだし、正直便利に越したことないしどうでもいいかな。(そんな事より、この悪友が長男と言う事実が俺には一番ビックリニュースだったけどね。うんまあ、嬉しいけど) 「それはいいとしてさあ、お前一体何処いってたんだ?」 「へへっ! ファイラスまで散歩っ!」 学は両腕を元気よく左右に振り、ジェスチャーで示す。(こ、こいつ……相変わらずエネルギッシュ馬鹿だな。まあ、魔王だから、むしろそれが正常なのか)  俺はコイツがこのザイアードに転生した理由が分った気がした。「で、わざわざ敵国に何しに?」 「偵察だな。なんでもこの国に攻めてくると言う噂を聞いたんでな?」 執事に聞いた話と違い、「えっ? 停戦中じゃなかったのか?」と、目をまん丸くする俺。 俺の心情を察した執事は「マモル坊ちゃま、実はここ数日で色々状況の変化があったのでございます」と、近況を補足説明をしていく。 何でも我が国の斥候情報によると、最近『ファイラス』では数十万単位の軍隊が練兵しているんだとか。 そのためこの感じだと、少なくても数か月後にはこの国に攻めてくるとシツジイは予想している。「実際、練兵している姿を俺はこの目で見てきたぜ?」 学の言葉に「マ⁈」と、狼狽える俺。「た、大変な事になるじゃねーかそれ? その規模だと、どっちかの国が亡びるかの大戦じゃね?」(こ、これはえらいこっちゃ……)  俺は急に不安になり、その場をうろうろしてしまう。   学は執事に、「まあ、そうなるな……。なあ、シツジイ、基本人と魔族の一人当たりの戦力差は人一人の百倍と言われているよな?」と、この世界の種族間の戦力ポテンシャルを確認する。 対して執事は、「そうでございます。これは魔族の闇の魔力の強力さが理由と言われております」と、サラリと返す。  が、学が疑問に持つのも無理もない。 この国は五万の兵力を
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4.全てを消し去る漆黒の力
 こうして驚きの連続の一日が無事終わり? 翌日の昼を迎える。 ここは俺の魔王部屋。  接客用のフカフカの赤いソファーに優雅に腰かけ、俺と学は談話の真っ最中だったりする。「……守、ここは慣れたか?」 学の鋭い問いに対し、俺は「ま、まあ、なんとかね?」と答え 、虚勢を隠すために紅茶をすすり、カップをテーブルに静かに置く。(てかさあ、正直、魔王としての立場とかまだ色々違和感はあるだよなあ)  が、悲観しても仕方がないし、慣れるしかない。 そう、こちとら幸か不幸か孤児院時代で培ったハングリー精神がある! それに現実世界で起きてる紛争とかに比べると、別に絶望的ではないしな。 見知った学もいるし、忠臣のシツジイもいる。(立場上、俺は魔王だし、なんとかなるよ。てか、俺がなんとかして見せるさ!)  そんな事を考えてる俺に守は「そうか。ところで守は転生した時に『特殊能力が使える事』に気づいているか?」と、腕組みし俺の顔を覗き見する。 俺は「え? 空飛べる以外に、まだ大それた何かが出来るの? 勿体ぶらずに、サクッと内容を教えてくれよ?」と、驚いたわけだが。 実際俺は昨日、シツジイに直接指導を受け、嬉しくって大空をガンガン飛びまくった。(へへっ、だからもう鷹とかツバメとかより早く飛べるぜ!)  なんとといっても機動力は早めに確保した方がファンタジー世界では色々便利だしね。 俺のやれることから直実に詰めていった方がいい。「流石ポジティブ思考だな。では、そうだな。言葉で説明するより実際見せたほうが早いか……。てことで外に出ようぜ!」 「おう!」  てことで、俺達は漆黒の翼を大きく広げ、近くのただっ広い平地まで飛んでいくことにした。 澄んだ青空を気持ちよく飛びながら俺はふと後ろを振り返り、今飛び出したばかりのザイアード城を眺める。(うん! 壮観、壮観っ!)  城はごつごつとしたクソデカイ岩山をくり抜いて作られた、ゴシック様式の白亜の天然要塞といったところ。 その城の周りだけ漆黒の瘴気にうっすらと覆われているところがもう、なんか「ザ魔王の城」って感じだ。 だからか、俺は「なんかこの城ってさ、ドラキュラが住んでそうな雰囲気出てるよな」て、言葉が自然とでてしまう。 対して学は「ははっ、そうだな。てか俺達今、魔族だからな?」と、飛翔しながら苦笑いする始
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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5.3人目の転生者
 それから数週間たったある日。 ここは人の国『ファイラス』城内、王の間。 だからか、周囲は立派な大理石の白壁に囲われている場所であった。 天井を見上げると壮大な壁画が見え、更には均一に立派な硝子細工のシャンデリアが吊るされているのが分る。 床には立派な赤い絨毯が引かれ、そこに静かに整列した重曹騎士団が見守る中、一部の権力者達が会合を行っている最中であった。「お兄様方、私は他国と争うことは反対です!」 「だ、黙れっ! 王女であるお前に決定権はないし、俺達は方針を変えるつもりはないっ!」 シズク王女と王子達の口論が静かに城内に響き渡る。 『ファイラス』では現在、第一王子レッツ。第二王子ゴウ。そして第一王女のシズクの3人による統治が行われていた。 そう、雫は『ファイラス』の王女として守と同時期に転生していたのだ。 激情型である第一王子レッツはシズク王女の態度に激昂し、頭上の王冠を激しく床に叩きつけ、怒りをあらわにする。 黄金の鎧を纏っていても分かる恵まれた体格、更には獅子の如きレッツの形相に、周囲の大臣や宰相などはおろおろし、たじろぐばかりであった。 対して温和で優しい第二王子ゴウは「……兄上のおっしゃる通りだ。もう確定事項なんだよこれは……。お前は頭を冷やしに城外に散歩に行ってきなさい。……いい子だから、な?」と、その王冠を拾いレッツに手渡し、シズク王女をもなだめる。「……っ、分かりました。では、失礼します……」 雫は王子達に軽く一礼し、言われるがまま静かに城外に出て行く。 雫は峠を越え城外からかなり離れた川岸に出るやいなや、周囲をキョロキョロと見回し、誰もいないことを確認し大きく深呼吸する。「レッツ王子のバッカヤロー! イノシシ武者――――――――――――っ!」 雫はそんな気持ちをぶつけるかの如く、大きく腕を振り絞り小石を川に勢いよく投げつけるのだった。 ドポンという鈍い音とともに、川に波紋が緩やかに広がっていく。「あ―――――――すっきりした!」 水面から消えた波紋の如く、すっかり落ち着いた雫。 雫はふと後ろを振り返り、丘から見える少し小さくなったファイラス城を見下ろす。 そこにはゴシック様式の立派な赤レンガで建てられた美しい城塞が眼下を覆いつくしていたのだ。「いつ見ても壮大なお城。うーん、大きさは大体、東京ドームの5個
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-15
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6.4人目の転生者
 一方その頃、ここは『エルフの国エルシード』。 深緑の森に覆われた木々の中、空の雲に届かんばかりの一本の超巨大な大木がある。 それは実は天然の要塞エルシード城そのものであった。 例外なく王女室も樹木の壁で覆われており、そこには一人のエルフの女王が木の椅子に静かに鎮座していた。 その女王の名はスイ。 そう、スイはエルシードの第一王女として守と同時期に転生していたのだ! 彼女は王女らしく、鮮やかなオレンジ色の麻の服を身に纏い、煌びやかな宝石の腕輪を見に付け統治を行っていた。 すっかり長くなった両耳をうさぎのようにぴこぴこさせているのは、彼女が転生してエルフになった証拠だろう。 スイはブラウン色のふかふかの高級ソファーに深く腰掛け、優雅に紅茶を飲みながら考え事をしていた。 スイが転生して分かったこと。 それはこのエルシードは『過去の歴史を網羅できる巨大な図書館及び全世界の情報が一瞬で集まる国』だという事だった。 思考を終えたスイは木製の丸テーブルに乗っている物に静かに目を移す。 それは丁度盆バケツくらいの大きさで、エメラルドの結晶のような不思議な植物であった。 その植物の名は『古代図書装置ユグドラ』。 スイはそのユグドラ向かって「……ねえ、ユグドラ。雫は今何しているの?」と、そっと囁く。 すると、何と驚いた事にユグドラは「王子達ト口論ニナリ、カワデ、ストレスハッサンチュウデス。ソシテ、スイ様達ノ身ヲ案ジテオリマス」と、機械的な言葉で返したのであった。 だからかスイは「そう、ありがとうユグドラ。ふふっ、雫も頑張っているのね……。そして優しい……」と、にこやかに笑う。 対してユグドラは「ドウイタシマシテ」と、淡々と返す。 この『古代図書装置ユグドラ』の正体。    それは、この世界アデレの情報を全て網羅できる生きたコンピャーターみたいな存在であった。    と、話は少し変わるが、ここエルシードは他国と比べ軍事力は皆無であるものの、お家芸として『創造神以外の能力を断絶する結界能力』を保有している。 で、この結界の関係で他国にはユグドラの情報は知られていない。(この国って、ある意味最強の鎖国国家よね……) スイは陶磁器のティーカップをテーブルに静かに置き、満足げに頷く。 スイがそんなユグドラを介し、わかったことがある。 それは
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-16
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7.それぞれの行動と思惑と
 それから数か月後。 ここは再び人の国ファイラス城。 血相を変え、赤床の回廊をかけていく王女雫。(ファイラスの王子達が大戦のためザイアードに出兵し、監視が極端に緩んだ今しか抜け出せないないなんて……)「は、早く二人の元に行かないと、大変な事に……!」 雫はファイラス城内から王家のみが使用できる転送装置を使い外に抜け出すことに成功していた。 その転送先はファイラスとザイアードの国境近くに配置されている古代遺跡。 勿論遺跡の中には誰もいない。 理由は、一部のの特権階級しか知らない秘匿情報であるからだ。 なお、雫がこんなに必死になっているのは理由がある。 雫がここ最近集めた情報によると、「大戦はこの遺跡から近い国境近くの場所で決着するシナリオ」と知ったからだ。 幸いファイラス軍が国境にたどり着くのは数日はかかる。 であるからして、雫はそれまでになんとかザイアードにいる学と守に会って、それを伝えたいのだ。 雫はぼんやりと不思議な青白い光を放つ転送装置を見つめながら、なんでも入る魔法の鞄にしまっていた魔法のスクロールを次々に取り出していく。 そこから飛び出すは、立派な1つの角を持った銀色のたてがみをなびかせ、いななく一頭のユニコーン! 雫は「ああっ! このままでは、学達が……。ユニコーン急いで、お願いね?」と、逸る気持ちを抑えきれず、ユニコーンに急いで跨りかけていく! 雫は覆ったものの姿を消す魔法のマントを羽織った後、『ザイアード』の城に向かい電光石火の如く爆走していくのだった。   ♢ 一方その同時刻、此処は守達がいるザイアード。 学はファイラスからの文書を見て「な、なんだとっ! あの馬鹿人間の王子どもっ! く、くそっ!」と、血相を変える。 更にはその文書を力いっぱい床に叩きつけ、学は急いで城外へ飛んでいく。 それを自室から偶然目撃した守は「なあ、学がアホみたいなスピード出して急いで外へ飛んでいったけど何かあったのかな?」と、目の前に静かに佇むシツジイに尋ねる。 対し、シツジイは「さ、さあ? おそらく、その、いつもの鍛錬に行かれたのでは?」と、何故か申し訳なさそうに小声で答える。(怪しい……。この感じ絶対何かあるよな? ま、いいか)「……ところでさ、例の同盟の話は進んでる?」 「す、進めてはいますが、『エルシード』からは何も
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-17
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8.代償の血潮
 それから数時間後、此処は【黒と白の境】と呼ばれている場所。 いわゆるザイアードとファイラスの国の境の別名でもある。 そこに学は腕を組み1人静かに佇んでいた。 晴天の最中、まっ平の草原にまばらに散見される木々や岩々……。 そう、戦闘するにはもってこいの場所であった。 学が佇むその場所に向け、砂埃を上げながらこちらに進んで来る馬上に跨った大軍が見えてくる。(……ざっと見ただけでも万はいるな?)  学は仁王立ちし、緊張しながらも静かにその様子を見守る。 その学の組んだ右手に注目する。 そこには金属製の赤黒い小手が装着されており、それは鈍く怪しい輝きを放っていた。(チッ……。俺の予想よりかなり早いな) 正直そのファイラス軍の予想外の移動スピードに学は焦っていた。(軍馬の移動だと数日はかかる計算だ。ということは、この尋常じゃない移動スピードは『集団の空間転移魔法』? となると今回の件、裏にエルシードが絡んでると予想出来るな) そう考えると、敵はファイラスだけではない。 そんな事を考えている学の前に、砂塵を上げて進む大軍の中から一人軍馬にまたがり颯爽と学の目の前に姿を現す者がいた。 輝く黄金の鎧に身に纏った屈強な男は「俺はファイラスの第一王子レッツである! 貴様が魔族の王か?」と、大声で叫ぶ。  学はレッツのその話の内容と声のトーンなどで、「魔族を見下している」と、瞬時に勘で判断する。(そもそも、守の送った文書の返答がこれだしな……) 学はため息をつき、ファイラスの大軍をキッと睨みつける。「……レッツよ確認だが、ザイアードとの同盟は考えてないのだな?」 学は無駄とは分かっていても、守との約束を考え律儀に確認することにした。「はっ、笑止! 何が同盟の文書だ! どうせ姦計を計って我らを皆殺しにする予定だったのだろう? ああ?」 レッツのそのあまりの失言に対し、ファイラスの私兵は呼応するように魔族達に対する侮蔑の言葉を吐き嘲笑していく。「な、なんだとっ!」 学はファイラス軍のその態度に激昂し、自身の髪が逆立つのが理解出来た。 幼き頃から兄弟同然に育った守に対し、侮蔑としか思えない言葉を述べたのだから当然と言えば当然だろう。「あいつがどんな気持ちで文書を書いたか知らないくせに、よくもぬけぬけと! あいつがその気になればお前達なんぞ、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-18
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9.血の涙と共に
「あ、貴方もしかして、スイ……?」 「え、ええっ?」 雫さんの言葉に俺は思わず驚いてしまう。 煌びやかな青のドレスを身に纏ったエルフの統治者らしき人物。 よく見ると確かにスイさんに瓜二つだった。(ま、まじ⁉ このエ〇フもとい、エルフの女王らしき人ってあのスイさんなのか……? それにそうだとしたら何故彼女が此処に……?)  当然再び会えた嬉しさもあった。 が、何故スイさんがファイラス残党兵と共闘しているのかなどの疑問を俺は抱き、「……スイさんは何故此処に? そ、それにさっきの話は……?」と、問う。「ああ、ごめんなさい。挨拶がまだだったわ、お久しぶりね? そして時間が勿体ないから担当直入に聞くわね。貴方達『Fプロジェクト』って知ってる?」 苦笑いしながらも、俺の問いに対する答えをはぐらかし、ジッと俺を見つめるスイさん。 俺はあまりにも自分勝手すぎるスイさんの物言いとその行動に警戒し、「……知らないな?」と、返す。(時間が無いから? ふ、ふざけるなよっ! 学や沢山の人が目の前で死んでるんだぞ! それに『Fプロジェクト』だって? なんなんだよそれっ⁉)「やっぱ知らないか。……じゃ、別の質問。学さんが人造人間だということは?」 ため息をつき落胆しているスイさんに、俺は思わず「……は?」という言葉がでてしまう。 (スイさんはさっきからなにを言っているんだ?)  正直俺にはさっきから彼女が言っている意味が全く理解出来なかった。 分かっている事は逆にスイさんは俺達の様子を見て、何やら色々確認作業していること。「はあ、ホントに何も知らなかったみたいね……。学さんは貴方を護衛するために『Fプロジェクト』で作られた人造人間なのよ?」 雫さんは「え、仮にそれが本当だとしたら女性型のってこと?」と、スイさんによくわからない質問を返す、っ……て⁉「えっ、え? さっきからホント何の話?」 俺は訳が分からなくなり、思わずそれが言葉に出てしまう。 色々確認したいことが多いが、何事にも優先順序ってものがある。 と、とりあえず学がおっぱ……じゃなくて女性かどうか確認したい。「あ、あの、も、もしかして、あの時に雫さんが学と車で喧嘩した理由って……」 「そ、俺は女性って言われ触って確認したのよね……。見事に胸にサラシを巻いていたわ」(な、成程……。あの時、後
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-23
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10.虹色の彗星となって
 ふと周囲を見渡すと、手に握りしめていた『天罰の涙』のように赤く太陽は染まり、沈みかけていた……。 血の色の様に真紅に染まった空と雲。 それをぼんやりと見つめながら、俺達はユニコーンに跨り、とぼとぼと近くにある遺跡へと向かう。 俺は背に担いだ動かくなった学のまだ温かい体温を感じ、だからか嗚咽を漏らしてしまう。 俺の後ろの雫さんも然りで、俺はいたたまれない気持ちになってしまう。 そんな失意のまま程なくし、目的地の遺跡に辿り着く俺達。 周囲はすっかり闇夜に染まり、昴が輝く星空の中、無数の流れ星が流れていくのが見える。 それはまるで、学や散って行った沢山の命が形になって流れているように俺には見えて……。 だけど不思議な事に、学が死んだこと以外あまり悲しいと感じない俺がいる。(もしかしたらこれが「この世界で魔王に転生した副作用」なのか……?)  魔に染まるとはこのことを指すのではと、俺は自身の立場をしみじみと実感してしまうのだ。「ここよ……」 悲しい気持ちでいっぱいの雫さんの言葉は暗く重い。(申し訳ないけど、そのなんだ、かける言葉が見当たらない) だから俺は無言で頷き、ユニコーンから静かに下馬する。 正直さ、俺も気持ちの整理が全然追いついていない。 でも、もしかしたら? という気持ちで俺達は遺跡に来ており、期待に満ちた瞳で遺跡を見つめる。 俺達の期待に応えているのか、蛍光ゴケの関係でボンヤリと明るく輝いている遺跡……。  よく見ると、まるでかまくらの大きさの様な岩肌に入り口が見える。 俺と雫さんは互いの顔を見て頷き、地下への階段を急ぎ足で降りていく。    しばらく奥に進んでいくと、周囲が光輝く紫水晶で出来ている不思議な部屋にたどり着く。「綺麗だ……」 「そうね……。それにヒンヤリして独特の雰囲気があるよね」 実際に神秘的な雰囲気ではあった。 が、先程の事で俺達の心は沈んでいたし、だからこそ素直に感動できずにいた。 だからか雫さんも俺も、口数が少なかったんだろうと思う。 ……無言でひたすらに進んでいくと、等身大の像が見えてきた。 注意深く見ると、その像はなんと驚いたことに紫水晶で出来た女姓の像であった! それに気が付いた俺は「大きく広げた両手と折りたたんだ6枚羽、更には整った凛々しいお顔……。これってまさか?」と、少
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-02-23
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