ついに街に入った。
建物の影に隠れたり、|塀《へい》に張り付いたりしてナタリアの後をついて行く。「おじさんおはよう! 後で買いに来るかも!」
「おっ、ナタリアちゃん! お出掛けかい? 今日はサンドリザードのいい肉が入ったから楽しみにしてな!」
ナタリアと屋台のおじさんが親しげに会話している。
おそらく頻繁に買い物をする店なのだろう。 対象の行動パターンを把握するのに重要な情報を手に入れた。勇太:こちらアルファー、サンドリザードの串焼きが食べてみたい。
コメ:ブラボー了解。腹ペコ名探偵は任務を続けろ。 コメ:デルタ、ナタリアたんが可愛い!【一万円】 勇太:デルタありがとう! コメ:もういいってそれ!w城から街の外まで続く真っ直ぐな大通りを、|遮蔽《しゃへい》に隠れつつ慎重に尾行を続けていく。
すると、何かに気づいたナタリアが建物の角を曲がって路地裏に入った。 俺は、その建物の壁に背中をつけ、片目だけ出して様子を確認した。 そこには、手を振ってナタリアを呼ぶ少年の姿があった。おそらく、アレがディーという俺の娘についた虫だろう。
ナタリアと同じく中学生くらいの年齢に見える。 センター分けの短い銀髪は清潔感を感じさせ、大きなライムグリーンの瞳が美しい。 闇皇帝に匹敵する整った容姿をしている。 少し吊り上げた口角がニヒルな笑みを作り上げ、白いシャツに白いパンツが王子様のような雰囲気を出している。コメ:イケメンやんけ!
コメ:美男美女のカップルだね。 勇太:みんなには、あの男がまともに見えるんですか? 名探偵ユートルディスしか気付いてないのか? コメ:どういうこと? コメ:爽やかな好青年て感じだが。 勇太:シャツのボタンを二つも外して胸元を|曝《さら》け出してる。アレは不良だ! コメ:勇太くんて、すげえ馬鹿なんだねw コメ:言い掛かりで草ディーの元にナタリアが駆け寄る。
ディーは、ナタリアが上から手を乗