戦闘が終わると、兵士達が街道に散らばる緑の死体を一箇所に集め始めた。
ゴブリンの死体は食べる訳にもいかず、放置しては腐敗による悪臭や他のモンスターを呼び寄せる原因にもなる為燃やすしかないらしい。 魔法使いが火を放つと、肉の焼ける嫌な臭いが広がった。 立ち昇る黒い煙がどこか怨念を含んでいるようで、背筋に寒気を覚えた俺は、その光景を見続ける事が出来なかった。「わっ……私は、パパの顔って可愛い? ……と思いますけどねっ!」
アルが気を遣って俺を励ましてくれたが、あんまり頭に入ってこなかった。
コメ:おい! 何か言うことがあるんじゃないか? コメ:ふぅ。 コメ:勇太、見えてるんだろ? コメ:リーダーどこー? コメ:ふぅ。 コメ:緑色の勇太が居たなー? んー? 勇太:オレ ゴブリン オマエラ スマン コメ:馬鹿馬鹿しくてワロタwww コメ:しょうもなw コメ:俺は結構好きwww俺の心に大きな傷を残した悲惨な事件があった気がするが、何事もなかったかのように行軍が再開された。
馬車が森を抜けると、小高い丘の上に聳え立つ巨大な城と、その麓に栄える街並みが見えた。
これからは城下町に行く機会が増えるだろうし、タイキンさんのように商品紹介なんかをやってみるのもいいかもしれない。 城での生活は長くなりそうだが、視聴者が楽しめるような企画を考えていくつもりだ。 『王様にドッキリをしかけてみた』なんてどうだろうか? 不敬すぎて首を刎ねられるかもしれないな。 さっきのゴブリンリーダーのように。馬車は跳ね橋を渡り、巨大な城門を潜り抜ける。
そのまま街中を通り、緩やかな坂道を登っていく。 石畳の広場で馬車が停止した。「これより王に面会する! 部隊は解散せよ!」
兵士達が俺に一礼しながら去って行く。
中には俺に握手を求める者までいた。 いよいよ、新しい生活の始まりを感じる。