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Accueil / 恋愛 / 結婚式の前に、彼は別の女に誓った / 第10話

第10話

Auteur: 毒リンゴ
晴樹は微動だにせず、寧音がそっと近づいた瞬間、彼は激しく彼女を振り払った。

「いらない。俺が結婚するのは葉月だけだ。必ず彼女を見つけ出す」

「晴樹!?」寧音は数歩よろけて立ち直ると、信じられないといった表情を浮かべた。

晴樹は彼女を一瞥することすらなく、そのままドアを開けて出て行った。

その背中が消えていくのを見届けながら、寧音はまるで頬を強く打たれたような衝撃を受けた。

葉月だけ?

それなら、以前「君としか結婚したくない」と言ったあの言葉は、ただの戯れだったの?

その日の結婚式は、まるで戦場のような混乱だった。

一方その頃、葉月を乗せた飛行機は、海を越えた異国の地に到着していた。

出迎えに来た同僚の竹下翔(たけした しょう)が、彼女のスーツケースをトランクに積み込みながら言った。

「君のいくつかの企画書、見せてもらったよ。素晴らしい出来だった。ずっと君を引き抜きたかったんだ。

仕事が忙しすぎて断られた時は、本気で帰国しこうかと思ったくらいだよ。

で、結婚式っていつなんだ?仕事で潰しちゃダメだし、スケジュール調整するよ」

葉月は微笑んだ。

「今日」

翔は呆気に取られた。「えっと……」

「心配いらない。代わりに出てくれる人がいるから。私も彼も、誰の足も引っ張らないわ」

数秒の沈黙のあと、翔がようやく理解した。「裏切られた?」

「うん。二人に」

翔は目を細め、しばらく黙ってから一言。

「じゃあ、おめでとう。一度で全部片付いて、楽になる」

葉月は思わず吹き出した。

出発前、彼女は結婚式までのカウントダウンカレンダーをゴミ箱に放り込んだ。

異国の地に足を踏み入れたその瞬間、晴樹との五年間は、良いことも悪いことも、すべて置いてきた。

完全に過去を断ち切ったのだ。

今や晴樹の名前を耳にしても、心はほとんど動じなかった。

葉月はスマホの電源を入れた。

すぐに震えが止まらなくなる。

【葉月、君は一体どこにいるんだ?】

【どこを探しても見つからない。心配でたまらない。お願いだ、電話に出てくれないか?】

【さっきエレベーターに閉じ込められて、連絡できなかった。わざと遅れたわけじゃない】

【俺が悪かったとしても、罰でも何でも受ける。ただ、君がいなくなるなんて……怖いんだ】

葉月は唇を引き結んだ。

もしまだ何も知らなければ、
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