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Home / 恋愛 / 結婚式の前に、彼は別の女に誓った / 第15話

第15話

Author: 毒リンゴ
「そんな呼び方、やめて。気持ち悪い」

葉月に突き飛ばされた晴樹は、数歩よろめいてようやく立ち直った。彼の目が、一瞬で赤く染まる。

「結婚写真のこと、ちゃんと説明したよね?あれは嘘だって。あの日、出張だったって話したじゃないか。

俺と寧音は何もない。ただの妹みたいな存在だよ。君が嫌なら、もう二度と会わない。

君が俺に居場所を隠してるから、必死に調べて、やっとここまで来たんだ。十時間も飛行機に乗って。

葉月、お願いだ。こんな仕打ち、俺、耐えられない。」

声は震え、ひどく惨めな響きだった。

葉月は唇をきつく結び、胸の奥から込み上げてくる吐き気を必死で抑えた。

「晴樹、本当に恥ってもんがないの?」

晴樹は呆然と葉月を見つめる。

「どうして?俺、何を間違えた?五年も付き合って、結婚目前だったんだよ?どうして急に、俺を捨てるんだ?」

葉月は無表情で彼を見返す。

「結婚式当日、何したか、自分でわかってるでしょ」

晴樹の瞳が、さっと縮まった。

「俺はエレベーターに閉じ込められてたんだ。君との結婚、すごく楽しみにしてた。遅れるなんて絶対ありえなかった。

助け出されてすぐ、ホテルに向かった。でもどこを探しても君がいなくて。君にブロックされて、俺は何度もアカウントを変えて連絡しようとした。でも、説明するチャンスさえもらえなかった」

葉月は笑った。

晴樹が何をしたのか、誰よりも本人がよく知っている。

なのに、わかっていて、わからないふりをする。

「演技しすぎて、自分でも信じちゃった?寧音が妹?一つ屋根の下で、顔を寄せ合って眠れる妹なんて聞いたことない」

その言葉に、晴樹の身体がびくりと固まる。

葉月は鼻で笑った。

「プロポーズの前夜、寧音にメッセージ送ってたでしょ。葉月との結婚は仕方なくて、本当に結婚したいのは君だって。

結婚前は恋人同士、しばらく会わないほうがいいって理由つけて、その間ずっと寧音の部屋で一緒に過ごしてたよね。

それに、あなたは『急な出張で結婚写真に同行できない』って言ったわよね?私に気づかれないように、寧音を数日間遠ざけたってまで言って。でも結果はどうだった?その結婚写真が本物かどうか、あなたがよく知ってるでしょ。

晴樹、私たちには、これから先もいくつもの五年がある。寧音が求めてるのは、あなたと結婚式を挙げるたった1日だけ
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