「藍がやりたいのなら、俳優のお仕事も絶対にやったほうがいいよ!」
「萌果……。でも……」
藍の表情が、わずかに曇る。
「萌果は、嫌じゃない?」
「何が?」
「俺が、テレビで女の子と共演するのがさ。俺は、萌果が嫌って思うのが嫌なんだよ」
私が……?
「事務所で俳優をやってる先輩が恋愛ドラマに出たら、付き合ってる彼女に『他の女の子と、抱き合ったりキスしないで!』って、言われたらしくて。結局、それが原因で別れたって聞いたから」
「大丈夫だよ」
私は、藍の頬をそっと両手で挟む。
「そりゃあ私だって、自分の彼氏が他の女の子とキスしてたら嫌だって思うよ?でも、それは仕事だって思えば、全然大丈夫」
「萌果……」
「もし藍が私のことを気にして引き受けないって言うのなら、そんな遠慮いらないから。私のせいで、藍のチャンスを奪いたくないし。藍には、やりたいことをどんどんやって欲しい」
「……ありがとう!」
藍が、私のことを正面から力いっぱい抱きしめてくる。
「前にも言ったけど。私は、久住藍のファンだから。モデルだけでなく、俳優としての藍も見てみたいし。頑張る藍を見られる機会が増えるのは、素直に嬉しいよ」
私は、藍の背中に腕をまわす。
「私は藍のこと、一番に応援してるから」
「ありがとう。萌果ちゃんのおかげで、決心がついたよ。俺……頑張ってみる」
藍の目が細められ、端正な顔が近づいてくる。
そして、私の鼻先にチュッと唇を押しつけた。
「萌果ちゃん、大好きだよ」
「私も、大好き……んっ」
唇に、ついばむようなキスが繰り返し降ってくる。
藍の唇、柔らかくてキスすると気持ち良い。
「口、開けて」
「ふ……ぁ」
言われるがまま隙間を開くと、すぐに舌が入り込んでくる。
「は……、っん」
口内を深くまでむさぼられ、呼吸が上手くできなくなっていく。
「はぁ、やばい。キス止まんない……。俺、今夜は萌果を寝かせられないかも」
「っ、ええ!?」
ね、寝かせられないって……!
「んっ」
再び唇が重ねられ、またすぐに深く絡められる。
「ここで同居してる間は、イチャイチャし過ぎないって萌果と決めてたけど。今夜はふたりだけだから……いいよね?」
私の首筋にキスを落としながら、藍が妖艶に微笑む。
「うん。いいよ……今日は特別」
私も、藍ともっ