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ホーム / 恋愛 / 離婚まであと30日、なのに彼が情緒バグってきた / 第92話

第92話

作者: 桜夏
ドアのそばで、美月はようやく目を覚ました。蓮司がもう起きているのを見て、壁に手をつきながら立ち上がり、かすれた声で言った。

「蓮司……私たち、やり直せないかしら?あの二年間のことは忘れて。あなたも私も、悪かったのよ」

蓮司が出てくると、美月は彼の腕を掴んだ。蓮司は冷たい表情でそれを振り払い、言った。

「昨夜、はっきり言ったはずだ。これ以上、哀れみを誘う芝居は無駄だ。今日中にこの家から出て行け」

「蓮司、蓮司……」

美月は後を追おうとしたが、一晩ドアのそばで寝ていたせいで手足が痺れており、思わず床に崩れ落ちた。

以前のようにすぐに振り返って助け起こし、あれこれ気遣ってくれるだろうと思っていたが、蓮司は足を止めることさえせず、振り返りもせずに玄関で靴を履き替えていた。

靴を履き終えると、蓮司は振り返った。

美月はちょうど顔を上げ、倒れたままの姿勢で、涙で潤んだ瞳で見上げていた。

「蓮司……」

美月は呼びかけたが、男の表情は冷たく、その瞳には氷のような冷酷さが宿っていた。

「今日中に出て行かないなら、お前の荷物を叩き出すことになると思え」

蓮司はそう言い捨てると出て行き、ドアは無情にも閉まった。

ドアの内側で、美月は床に突っ伏して泣き崩れ、悔しさのあまり何度も床を叩いた。

諦めきれない。こんな形で蓮司との関係を終わらせるなんて、絶対に嫌だ!

地下駐車場で。

蓮司は直接車で本家へ向かい、執事に電話してお爺様の様子を尋ねた。

薬を飲んでだいぶ良くなったと聞き、安堵のため息をついた。

彼を気にかけてくれるのはお爺様だけなのだ。お爺様に何かあったら……

電話を終えると、すぐに大輔に電話をかけ、出社したらすぐに弁護士を連れて本家へ来るようにと指示した。

三十分後、車は新井本家の門前に停まり、執事がすでに出迎えていた。

「若旦那様、朝食のご用意ができております。後ほど旦那様とご一緒にお召し上がりください」

執事が言った。

蓮司は頷き、幾重にも続く趣のある長い廊下を抜け、表座敷へと向かった。

新井のお爺さんは上座に座り、ちょうどお茶を飲んでいた。

足音が聞こえると、視線を上げた。

「お爺様」

蓮司は敷居をまたぎ、挨拶をした。

「跪け」

新井のお爺さんは無表情のまま、湯呑みを置いて言った。

蓮司は拳を握りしめた。お爺様の命令を聞
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